禅寺の天井龍がパネルで勢揃い

ポルタ 天井龍のパネル
京都駅の地下街・ポルタで、1月11日まで臨済宗七大本山の法堂に描かれた天井龍がパネルで勢揃いしています。

ポルタ 天井龍のパネル2015年の京都は琳派が話題になりましたが、2016年の京都観光は「禅」がテーマです。今年は臨済宗の始祖・義玄禅師の1150年、江戸時代後期の白隠禅師の250年大遠諱(おんき)にあたっているためです。春には京都国立博物館での特別展があるほか、臨済宗の禅寺の一斉拝観が行われ、話題を集めることでしょう。

大徳寺 雲龍図白隠禅師は臨済宗中興の祖ともされる妙心寺の名僧で、現在日本にある臨済宗の14派の禅の流れは、全て白隠禅師に行きつきます(日本に臨済宗を伝えた栄西禅師の流れは途絶えている)。そうした意味で白隠禅師は重要である一方、白隠禅師はもともと中国的だった禅の日本化・大衆化を進め、現在行われている禅の作法にも白隠禅師の流れをくむものが多くあるのです。

妙心寺 雲龍図さて、今年の京都の大きなテーマである「禅」のPRの一環で、京都駅前の地下街・ポルタにて、京都に所在する臨済宗七大本山の法堂に描かれた天井龍がパネル展示されています。京都の七大本山は、南禅寺・天龍寺・相国寺・建仁寺・東福寺・大徳寺・妙心寺で、それぞれ修業の場である法堂に、仏法を守護し、雲を呼び雨を降らせる(すなわち火災除けになる)という巨大な龍の絵が描かれています。

南禅寺 瑞龍図最も古いのは、現存最古の法堂建築がある相国寺。天井龍は慶長10(1605)年に狩野光信によって描かれました。例年、春・秋の特別公開で拝観することができ、真下で手をたたくとビーンと音が響くことから「鳴き龍」として有名です。次いで古いのは大徳寺。法堂は通常は非公開ですので、七大本山の天井龍の中では目にする機会は最も少ないでしょう。寛永13(1636)年、狩野探幽35歳の筆。同じ狩野探幽が55歳で完成させたのは妙心寺。8年もの歳月をかけて描いた大作で、どこから見上げても目が合うことから八方にらみの龍と呼ばれています。

東福寺 蒼龍図残りの4つは一気に時代が新しくなります。南禅寺の瑞龍図は明治42(1909)年に今尾景年によって描かれました。普段は外から覗いて見ることはできますが、堂内に入ることができないために龍の全貌は分かりにくく、こうしたパネル展示ではじめて、その見事な姿をうかがい知ることができます。また東福寺の蒼龍図は、昭和9(1934)年に堂本印象によってわずか17日で描かれました(描いたのは昭和8年とも)。狩野探幽の8年と比べるとなんと短期間でしょうか。3月14日~16日の涅槃会で堂内に入れるほか、今年の春の一斉公開でも同様に目にすることができます。

建仁寺 双龍図平成の龍も2つあります。天龍寺の雲龍図は、平成9(1997)年に加山又造画伯によって描かれました。洗練されたデザインが印象的です。京都最古の禅寺である建仁寺の双龍図は、最も新しい平成14(2002)年に小泉淳作画伯によって描かれています。2匹の龍というのが現代的。この両方の龍図は、龍の指の数が5本あるのも特徴です。その昔、5本爪の龍は中国の皇帝しか使えないとされましたが、現代にはそうした制約はないからだとも言われています(諸説あり)。各時代の龍が並ぶパネル展示。1枚1枚の歴史や込められた思いを偲びながら眺めてみても面白いかもしれません。パネル展示は11日まで行われています。

 

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ガイドのご紹介
吉村 晋弥(よしむら しんや)

吉村 晋弥気象予報士として10年以上。第5回京都検定にて回の最年少で1級に合格。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。2011年秋は京都の紅葉約250カ所、2012年春は京都の桜約200カ所を巡る。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。毎月第2水曜日にはKBS京都ラジオ「笑福亭晃瓶のほっかほかラジオ」に出演中。「京ごよみ手帳 2016」監修。特技はお箏の演奏。

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