天橋立駅のほど近く、天橋立のたもとにあるお寺が智恩寺。切戸の文殊、九世戸の文殊と称され、日本三文殊のひとつとしても有名です。本尊の文殊菩薩は秘仏とされ、残念ながら直接拝することはできませんが、正月三が日、1月10日、7月24日には御開帳されます。創建は平安時代初期で、境内では明応10(1501)年に建立された丹後では最も古い木造建築の多宝塔が目を引きます。また、山門も丹後地方最大の大きさとされます。
文殊菩薩は日本の神々の招きで中国の五台山から渡海して来たという九世戸縁起の神話伝説も伝わり、神事を脚色した謡曲も生まれ、足利義満も周辺に6度訪れるなど、室町時代からは数多くの巡礼者で賑わいました。さらに鎌倉時代の鉄湯船(手水に使われる)や、和泉式部の歌塚とされる宝篋印塔など、鎌倉時代の遺物も境内には残されています。
智恩寺は天橋立の玄関口として、多くの観光客で賑わっていました。周辺には食事処も多く、智恵の文殊にちなんだ「智恵の輪」という円形の石細工や、智恵の餅という門前名物もあります。秋の境内では、マツタケや栗も販売されていました。智恩寺の門前からは天橋立の遊覧船や対岸へと渡る船も出ています。天橋立に訪れる際には、ぜひ境内にもご参拝ください。
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ガイドのご紹介
吉村 晋弥(よしむら しんや)
気象予報士として10年以上。第5回京都検定にて回の最年少で1級に合格。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。2011年秋は京都の紅葉約250カ所、2012年春は京都の桜約200カ所を巡る。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。毎月第2水曜日にはKBS京都ラジオ「笑福亭晃瓶のほっかほかラジオ」に出演中。「京ごよみ手帳 2016」監修。特技はお箏の演奏。