雨の高桐院

高桐院
先日、雨の日に大徳寺の高桐院を訪れました。

高桐院高桐院は常時公開の塔頭で、創建したのは武将であり茶人としても名を知られた細川忠興(三斎)。父・幽斎の菩提所として、幽斎の弟・玉甫紹琮(ぎょくほじょうそう)を開祖(初代住職)としています。書院の意北軒は千利休の邸宅を移築したものとも伝え、2畳台目の茶室・松向軒は忠興自身が建立した質素な造り。いずれも京都らしい趣を感じられます。

高桐院京都屈指の絶景の参道を抜けて拝観受付を済ませ、右に行くと先述の書院や茶室があり、左に進むと客殿(本堂)へと続きます。客殿南には、苔や竹、楓の緑が見事なお庭が広がり、ファンの多いお庭となっています。庭の中央には春日灯籠が据えられ、庭にアクセントを加えています。

高桐院この灯籠は細川忠興とその妻・ガラシャの墓に使われている灯籠を模したもの。墓の本物は客殿の西にあり、笠の部分が欠けているのが特徴的です。灯籠はもとは利休の所持品で、秀吉が所望しましたが、利休は灯籠の笠の一部を欠くことで召し上げを避け、その後忠興に与えたと伝わっています。忠興はこの灯籠を大変気に入っていて、諸国をまわる際には持ち運び、さらには自分の墓標にもしてしまったのです。庭の灯籠も後ろ側の欠けなどが、ちゃんと再現されています。

高桐院普段は多くの方が縁側に座ってこのお庭を眺めていますが、他に人影がない時の特別な楽しみ方は、客殿内から額縁のようにお庭を切りとる風景です。ただ、背中には開山の像もありますので、一度お参りを済ませてからご覧になるとよいでしょう。何度訪れても美しいお庭だと感じます。特に雨の日は苔や木々の緑が際立って、非日常の空間を感じられるでしょう。

高桐院美しいお庭に囲まれた客殿(本堂)西側部分は「鳳来」という茶室になっています。この茶室は、裏千家13代「円能斎(えんのうさい)」好みの茶室です。茶室・鳳来からは、西側の庭を掛け軸のように切り取って眺めることもでき、様々な角度からお庭を堪能できるのもこのお寺の魅力の一つと言えるでしょう。

高桐院お庭の西側には細川忠興とその妻ガラシャの墓石の春日灯籠が立っています。利休が秀吉にこの灯籠を渡さないために欠いたのは裏面の3分の1ほどで、表から見える部分の蕨手という突起部も欠けているのは、忠興が完全を嫌って自ら欠いたという記録が残っています。およそ400年の時を経てひなびた姿にも茶道に生きた利休と忠興の好みも息づいているようです。なお灯籠の隣には、細川家歴代の墓所も設けられています。

高桐院もう一つ、高桐院で知られるのは袈裟型(けさがた)の手水鉢。加藤清正が朝鮮の王城の羅生門礎石を持ち帰り、忠興に送りました。地面に低く収められているので、降りつくばいとも呼ばれています。忠興はこの手水鉢を愛用し、熊本や江戸の参勤交代にも持ち歩いていたそうです。苔むしたその様子は忠興当時とは少し違うのかもしれませんが、高桐院にふさわしい趣ある手水鉢だと感じます。

高桐院高桐院は紅葉の時も素晴らしく、庭を埋める散り紅葉も見事です。あるいは雪景色の時にも期待通りの風景で迎えてくれます。四季折々に素晴らしいお庭、金閣寺からもバスで行けますのでコースに加えてみてもよいでしょう。雨の日でもたいへん美しいお寺のひとつです。

高桐院
高桐院
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ガイドのご紹介
吉村 晋弥(よしむら しんや)

気象予報士として10年以上。第5回京都検定にて回の最年少で1級に合格。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。2011年秋は京都の紅葉約250カ所、2012年春は京都の桜約200カ所を巡る。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。毎月第2水曜日にはKBS京都ラジオ「笑福亭晃瓶のほっかほかラジオ」に出演中。「京ごよみ手帳 2016」監修。特技はお箏の演奏。

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