古代の伝説を伝える竹野神社

竹野神社
京丹後市の間人(たいざ)の立岩から南へ行った竹野地区に、竹野神社(たかのじんじゃ)があります。

竹野神社竹野神社は、丹後三宮(さんのみや)とも呼ばれる古い社で、平安時代に編纂された延喜式にも載る由緒ある神社です。神社の祭神は天照大神(あまてらすおおみかみ)ですが、境内にはもう一社、斎宮(いつきのみや)神社があり、そちらの祭神のひとりは竹野姫命(たかのひめのみこと)です。竹野姫は、古事記や日本書紀に登場する古代の姫で、丹波国を治めていた丹波大県主(おおあがたぬし)由碁理(ゆごり)の娘で、第9代天皇の開化天皇の妃となった女性だとされます。この竹野神社は、竹野姫が老いてから天照大神を祀ったのが始まりだと伝わっています。なお、斎宮神社の他の祭神は、日子坐王(ひこいますおう)と建豊波豆羅和気命(たけとよはづらわけのみこと)で、それぞれ開化天皇の子とされている人物です。

竹野神社なお、少々ややこしいですが、日本書紀にはもうひとり竹野姫が登場します。丹波道主王(たにはのみちぬしのみこ)の娘で、第11代・垂仁天皇がサホビメを失った後に、妃候補として招かれた5人の姫のうちのひとりです。しかし竹野姫は容姿が美しくなかったために丹波へと帰されることとなり、そのことを恥じた姫は輿から落ちて(堕ちて)亡くなったとされます。その場所が「堕国(おちくに)」と呼ばれ、そこから「弟国(おとくに)」へと地名が変化したと日本書記は伝えています。それがさらに「乙訓(おとくに)」へと変化し、現在の京都市南西部の地域名となっています。竹野神社に祀られる竹野姫は、その竹野姫とは異なるようですが、竹野姫の名を聞くと思い出される伝説です(なお、古事記では円野姫の名で同様の伝説が語られています)。

竹野神社さて、竹野神社の斎宮神社にはもうひと柱の祭神がいます。それが聖徳太子の異母弟で鬼退治伝説が伝わる麻呂子(まろこ)親王です。竹野神社にもほど近い「立岩」に鬼を閉じ込めたという伝説があることでも知られています。詳しく書くと、推古天皇の頃、丹後(丹波)の三上ヶ岳(現在の大江山)では英古・軽足・土車という鬼が暴れていました。そこで朝廷は麻呂子親王を将軍に任命し討伐に向かわせます。途中、戦勝祈願のために神社に立ち寄ると、伊勢の神の化身という老人が現れ「この犬が道案内いたします」と、白い犬を差しだしました。

竹野神社そして鬼との戦いが始まると、鬼は山の奥へと逃げ込んでしまいますが、白い犬が持っていた鏡によって鬼が照らし出され、英古・軽足は討ち取られ、土車は竹野で生け捕りにされ、見せしめとして立岩に閉じ込められたと伝わっています。麻呂子親王という中央政権ゆかりの人物の伝説が、鬼退治という形で、古代に繁栄をした丹後に伝わっているのはたいへん興味深いものがあります。鬼とはすなわち丹後の人びとで、大和朝廷によって服属させられた証としての伝説ではないのかという想像も膨らみます。

竹野神社(斎宮神社)一方で、竹野姫という形で中央政権ともつながりを持っている。後日、紹介しますが古代丹後は「丹後王国」とも称されるほど大いに繁栄をしたエリア。竹野神社のすぐ隣にも、神明山古墳という日本海側屈指の巨大な古墳があります。竹野神社は、事実と伝説、そして想像のはざまともいえるような場所ではないでしょうか。

竹野神社(斎宮神社)さて、境内は木々に囲まれた厳かな印象で、武士からも信仰されたという斎宮神社の社殿は特に装飾が見事です。また、10月の秋祭りでは「竹野のてんきてんき」という民俗芸能が竹野地区の子どもたちによって伝承されており、中世の習わしを伝える貴重な民俗芸能とされます(近くの道の駅「てんきてんき丹後」もここから名づけられています)。機会がありましたら、足を延ばしてみてください。

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ガイドのご紹介
吉村 晋弥(よしむら しんや)

気象予報士として10年以上。第5回京都検定にて回の最年少で1級に合格。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。2011年秋は京都の紅葉約250カ所、2012年春は京都の桜約200カ所を巡る。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。毎月第2水曜日にはKBS京都ラジオ「笑福亭晃瓶のほっかほかラジオ」に出演中。「京ごよみ手帳 2016」監修。特技はお箏の演奏。

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