【番外編】奇跡の一本松と東北沿岸部の風景

奇跡の一本松
先日、宮城県の気仙沼市と岩手県の陸前高田市へと行ってきました。今回は番外編として「奇跡の一本松」など、現地の風景をご紹介します。

被災直後の陸前高田市 遠くに奇跡の一本松が写る2011年3月11日に発生した東日本大震災。あれから6年余りの月日が流れましたが、まだまだ当時の記憶は新しいことでしょう。私はいくつかの偶然があって、地震から12日後に東北に入る機会があり、津波によって大きな被害を受けた、気仙沼、南三陸、陸前高田、志津川、石巻など、各地の様子を目にしてきました。一緒に訪れた父と立ちつくす場面が何度もありました。

陸前高田市 2017年見て来たことを忘れないよう、当時長文の手記を書いていました。そのほんの一部を引用します。「途中、本吉に差し掛かる辺りから突如津波被害の光景が広がりました。それまでは本当に普通の道だったのに、突然何もかもが破壊された景色に変わりました。流された車、家、破壊された丈夫な建物、散乱する人工物、土煙…そこがもとどんな場所だったかを想像するのが難しい光景です。道路は、アスファルトは流されていますが、なんとか通れました。おそらく道を優先して復旧し、通れるようにしたのだと思います。気仙沼は電気は来ておらず、信号は止まりトンネルも真っ暗でした。途中にはJRの線路が流されて無残に曲がっている場所もありました。ガソリンスタンドには500m以上の長蛇の列ができていました。後で聞いた話では、この日、震災後初めて気仙沼のスタンドが開いたそうです。」被災地の光景は想像を絶するものでした。

陸前高田市 2011年父とは当時、何年か経ってから再び同じ場所を訪れて復興の様子を見届けに来ようと話していました。ただ、2012年に父は亡くなり、私もその後は訪れることができていませんでした。今回は改めて思いを抱いて訪れてみることにしました。6年という月日を経ていると、正直、現地は変わりすぎていてわからない場所も多くありました。けれど、やはり同じ場所に立つことで当時の思いがよみがえってきました。本当に想像を絶する出来事だったと改めて感じます。私ですらこうなのですから、住まわれている(いた)方の思いはいかばかりでしょうか…

陸前高田市 2017年一番驚いたのが、陸前高田の気仙川西部が大造成されていること。集落全体をかさ上げし、山を削って平地を作っています。とんでもない規模でした。集落が新しく造り直されるまで、まだまだ時間がかかりそうでした。あまり考えたくはありませんが、遠からず南海地震(今後50年以内に90%以上の発生確率)などの巨大地震にともなう津波が太平洋岸を襲うことが想定されています。その時に生き残ることは第一ですが、その先の復興については、本州・四国・九州でも同じような光景となるのではないか…。こうして集落丸ごとがいったん消え去り、単に同じ場所での復興ではなく、まるで違う場所のように見渡す限り造成されていく光景が、近未来の太平洋岸の光景なのではないかとも感じました。新しく造られる街は、同じ場所であって同じ場所なのか、住まわれていた方々にとって相当な決断だったはずです。

沿岸部の巨大堤防そして沿岸部には巨大堤防が各地で造られていました。河川の改修も同じように各地で行われています。この堤防によって海が近くとも海が見えなくなっています。しかし、それでも命には代えがたいという決断があったということです。地震や津波によってあまりにも多くのものが失われ、そして再び再建されるときにはそれは「以前と同じ街」ではないのだということを強く思わされました。

奇跡の一本松最後に訪れたのが、陸前高田市の「奇跡の一本松」。長大な松原の中でたった1本だけ、津波でも倒れなかったためにそう呼ばれています。残念ながら2012年に枯死してしまい、現在の松はモニュメントととして復活したものです。この日は連休中とあってか、多くの方が訪れていました。実は、震災の直後に訪れたときに、偶然この「奇跡の一本松」が写っていた写真を撮っていました(このブログの2枚目)。その時の写真と見比べながら、この木が復興の希望となってきたこと、そしてこれからもなっていくであろうことを思いました。

高台を造る工事松のそばには、壊れたままの建物も残されていました。震災直後はこうした光景が至る所にあったのです。被災地から離れて暮らす私たちは、復興の様子をなかなか目にすることはできません。しかし、現地を訪れてみるとまだまだ復興の途中であり、その様子を見続けている現地の方々には、語りつくせぬ思いがたくさんあるだろうと想像しながら帰途につきました。日本はどこにいても地震のリスクはあります。平穏無事な状況がいつか崩れ去るかもしれません。今を大切に生きることへの思いを改めて強くしました。

大規模な盛り土の工事
奇跡の一本松のたもとにて
気仙沼市 2011年
気仙沼市 2017年
気仙沼市 2011年
気仙沼市 2017年
気仙沼市 2011年
気仙沼市 2017年

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ガイドのご紹介
吉村 晋弥(よしむら しんや)

気象予報士として10年以上。第5回京都検定にて回の最年少で1級に合格。8年ぶりに受験した第13回京都検定で再度1級に合格し「京都検定マイスター」となる。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。毎月第2水曜日にはKBS京都ラジオ「笑福亭晃瓶のほっかほかラジオ」に出演中。「京ごよみ手帳 2017」監修。特技はお箏の演奏。

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