今年は、幕末の1867年に将軍・徳川慶喜が政権を朝廷に返上する「大政奉還」を行ってから150年に当たります。日付は旧暦で10月14日ですが、その前日の13日に慶喜は二条城の大広間に在京40藩の家老を集めて大政返上の意思を表明しました。この春から、二条城ではこの場面が人形で再現されています。「大政奉還といえば二条城」と学校でも習うほど関連付けられていますので、この秋の二条城では大政奉還にまつわる行事が行われ、22日までは二の丸御殿の夜間一般公開が初めて行われています。
夜の御殿は幻想的で、明治時代に描かれたものですが天井の文様がより際立って見えました。大広間は庭園に面した障子が透明の板に変えられており、御殿からの庭園の眺めを目にすることができます。庭を散策するよりも目線が高くなり、いつもとは違った光景。夜の雰囲気と相まって、たいへん幻想的でした。なお、二の丸庭園のほうは夜は歩くことはできません。その他、障壁画は夜も見事でした。
そしてプロジェクションマッピングが二か所で行われています。二の丸御殿の外観では、途中に幕末の人物の写真も登場します。なかなかマニアックな人物も出てきますので、すべてわかった方は大の幕末好きでしょう。そして、その答え合わせともいえるのが、二の丸御殿の向かって右手側から回り込んだ、物産展の先で投影されているもうひとつのプロジェクションマッピング。見逃している方も多いので、忘れずにご覧になってみてください。慶喜の思いも感じられると思います。
また、面白かったのが、坂本龍馬、徳川慶喜、西郷隆盛の等身大パネル。真ん中の慶喜の身長は150㎝だそうで、龍馬と西郷さんとの身長差が際立って、余計に小さく見えます。パネルとは記念撮影もできますので、それぞれの人物に親近感もわくことでしょう。
なお、二条城の東側は歩道が拡張されて大きく変わりました。ライトアップの光量も以前に比べると明るくなった印象で、これまでよりもお堀に近づけるようになったからか、お堀に東南隅櫓や東大手門が映り込む様子も眺めることができます。初の二の丸御殿の夜間一般公開は22日まで行われています。
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ガイドのご紹介
吉村 晋弥(よしむら しんや)
気象予報士として10年以上。第5回京都検定にて回の最年少で1級に合格。8年ぶりに受験した第13回京都検定で再度1級に合格し「京都検定マイスター」となる。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。毎月第2水曜日にはKBS京都ラジオ「笑福亭晃瓶のほっかほかラジオ」に出演中。「京ごよみ手帳 2018」監修。特技はお箏の演奏。