醍醐寺では、23日に恒例の五大力尊仁王会があり、例年とはやや異なる形で餅上げ力奉納が行われました。
醍醐寺の五大力尊仁王会(ごだいりきそんにんのうえ)は、通称「五大力さん」と呼ばれ、京都の早春の行事として広く知られています。観光的には餅上げ力奉納が有名ですが、信仰的には、この日にだけ授与される御影(みえい)を多くの方が求めていきます。御影は七日間にわたって祈祷をされ、「五大力尊」の分身として、昼夜をとわず影のようにその人の身を守り、家を護り、あらゆる災難を払い除けるとされるもので、身は無事息災に、一家は安泰になるといわれています。また、泥棒除けとしても知られ、玄関や入口に掲げられているのを市中でも見かけます。ちなみに、御影やお守りを持ち帰るための袋まで、ちゃんと加持祈祷をされています。
五大力尊とは、醍醐寺に祀られる5体の明王の総称です。国の安穏や無病息災を願う法要は、醍醐寺の始まり以来なんと1100年以上にもわたって続けられています。五大力さんの名物といえば「餅上げ力奉納」。この餅上げは戦後に始まったもので、女性は90kg、男性は150kgの大鏡餅を持ちあげて「力」を五大明王に奉納し、例年はその時間を競います。1位には上の赤い餅が、2位は下の白い餅を半分、3位は4分の1にして授与されます。そして優勝者には「横綱」の称号も与えられ、歴代優勝者の看板に、タイムとともに名前が記され、翌年以降も称賛されます。ちなみに、優勝者は翌年以降も参加はできますが、持ち上げるのは1分までということです。
ただ、今年は緊急事態宣言下での奉納ということで、参加人数が制限され、事前に申し込んだ男女19人(20人との報道も)の挑戦となりました。そして持ち上げる時間を競うのではなく、最大5分までを目指して上げ、そこで終了となるルールとなりました。残念ではありますが、仕方がなかったでしょうか。私が見た中では、男性で過去の優勝者の方も参加しており、安定した体制で見事に5分を上げ切ったのが印象的でした。150㎏は尋常ならざる重さですので、そもそも持上げられない方も多いのですが、ただただすごいことだと思います。何はともあれ、京都の早春の風物詩を見に来ることができました。多くの方が一年間、無事に無病息災で過ごせればと思います。
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吉村 晋弥(よしむら しんや)
京都検定1級に4年連続最高得点で合格(第14回~第17回、第14回合格率2.2%)、「京都検定マイスター」。気象予報士として10年以上。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。毎月第2水曜日にはKBS京都ラジオ「笑福亭晃瓶のほっかほかラジオ」に出演中。「京ごよみ手帳 2020」監修。特技はお箏の演奏。
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