先日、旧三井家下鴨別邸を訪れました。
旧三井家下鴨別邸は、下鴨神社の南の参道入り口付近に入り口があり、2016年から公開が始まりました。旧財閥で知られる三井家の先祖の霊を祀った顕名霊社(あきなれいしゃ)への参拝の休憩所として、大正14年に三井家10代目の三井八郎右衛門高棟(たかみね)によって建てられました。
その際、木屋町三条上るにあった明治13年建築の三井家の木屋町別邸が主屋として移築されました。下鴨別邸は、昭和24年には国に譲渡され、昭和26年以降は、京都家庭裁判所の所長の宿舎として平成19年まで使用されました。平成25年に文科省の所管となり管理団体は京都市に移され、老朽化部分の修復などが行われて、公開となっています。
旧三井家下鴨別邸は「主屋」「玄関棟」「茶室」の3棟からなる、望楼が特徴的な木造三階建てで、内外ともに簡素な意匠でまとめられています。外から見ると4階建てにも見えるのが面白いところ。鬼瓦には三井家の家紋「四ツ目結(ゆい)」があしらわれています。中に入ると、奥へと続く部屋の多さに驚きます。内部は書院造を基調としていますが、天井を高くし床に絨毯を敷くことで、椅子座の洋式居室として使用されたそうです。
玄関は複数あり、主人や使用人などの格によって使い分けられていました。杉戸絵には、原在中の長男・原在正が描いた見事なクジャクの絵があり、下鴨別邸の象徴のようになっています。庭園は、木々が茂り苔が美しい池泉庭園で、水は下鴨神社を流れる泉川から引かれ、滝の流れもあります。池は瓢箪の形をしています。燈籠や石組なども優美で、その中に散策路が設けられて、場所ごとに変化する庭や主屋の眺めを楽しむことができるでしょう。
この先、11月18日~12月7日に「モダン建築の京都(京都市京セラ美術館で開催中)」とのコラボ企画で2階・3階望楼の特別公開がある予定。事前予約制のため、詳細はホームページでご確認ください。水曜日が休館日ですが、今年は11月3日は開館し、翌4日が休館となります。11月後半から12月初めには紅葉も綺麗になってきますので、時期的にもおすすめ。初めての方はぜひ訪れてみて下さい。その他、食事付きのプランもあり、人気のようです。ご興味のある方はリンク先ホームページの「お知らせ」からご確認ください。
ガイドのご紹介
京都検定1級に4年連続最高得点で合格(第14回~第17回、第14回合格率2.2%)、「京都検定マイスター」。気象予報士として10年以上。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。毎月第2水曜日にはKBS京都ラジオ「笑福亭晃瓶のほっかほかラジオ」に出演中。「京ごよみ手帳 2022」監修。特技はお箏の演奏。
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