今年も原谷苑のしだれ桜が見頃を迎えています。
京都に桜の名所は数あれど、原谷苑の視界を包み込むほどの紅しだれ桜の密度は群を抜き、多くの方が口々に「すごい!!」「綺麗!!」と歓声を上げます。入苑料は桜の開花状況によって変わり、満開時には最高の1500円となります。拝観料としては高額の方ですが、この圧倒的な美しさには、見合う価値があったと言って帰られる方が多くおられます。入苑料が高い時にこそ、歓声を上げるほどの圧倒的な光景が待っています。
原谷は金閣寺辺りから一つ峠を越えた場所にある開拓地。かつては山林や荒れ地でゴミも捨てられていたりと、開拓は困難を極めたそうです。その中で原谷苑を運営している村岩農園は、多くの植物を開拓地に植えて行きましたが、土地の養分も乏しかったためほとんどが根付かなかったそう。そのような厳しい環境の中で生き残って行ったのが、桜の木。当初は身内だけで花見を楽しんでいたそうですが、人づてにその美しさの評判が広がり、桜の時期には一般公開されるようになりました。この美しい桜は開拓の苦労によって生み出された光景。先人たちには、本当に感謝したいと思います。
原谷は道が狭く、原谷苑の周りには駐車場がありません。金閣寺や仁和寺から徒歩で30分~40分程歩いても行くことはできますが、途中は坂道が続き、距離もあるため体力と心の準備が必要です。とすると、行く方法は「路線バス」「タクシー」と「無料シャトルバス」になります。路線バスは普段の市バスよりも一回り小さい、マイクロの「M」がついた「M1系統」がありますが、本数が1時間に1本ほどと少なく、計画的でないと使いづらい面もあります。また、昨年と今年は事前予約で自家用車も可能となっています。詳細は原谷苑のホームページをご確認ください。
無料シャトルバスは西大路通の「わら天神」の前から出発で頻度もあります。近隣の方の迷惑とならないよう整列してお待ちください。満開の時期には行列が伸び、数台待たないといけない時もありますので、特に帰りは時間に余裕を持って行動されるとよいでしょう。
さて、原谷苑の素晴らしいところは、シャワーのような紅枝垂れ桜だけでなく、足元に咲くユキヤナギやツツジ、レンギョウ、ボケなどの花々も美しいことです。上も下も見わたす限りの花花花!!これぞまさに百花繚乱!!行けども行けども花が待っています。それらの様々な色彩が、濃いピンクの紅枝垂れ桜をいっそう引き立てています。来週にかけて楽しめますので、よければ訪れてみてください。
ガイドのご紹介
京都検定1級に5年連続最高得点で合格(第14回合格率2.2%)、「京都検定マイスター」。気象予報士として10年以上。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。毎月第2水曜日にはKBS京都ラジオ「笑福亭晃瓶のほっかほかラジオ」に出演中。「京ごよみ手帳 2022」監修。特技はお箏の演奏。
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