建仁寺の霊源院が7月3日まで特別公開されています。今はアジサイに似た甘茶の花が咲き、涼しげな雰囲気です。

霊源院は建仁寺の南東にある塔頭寺院で、普段は非公開です。2015年の冬に70年間にわたって京都国立博物館に寄託されていた中厳円月(ちゅうがんえんげつ)という高僧の木像が寺に戻り、以後定期的に公開されるようになりました。像の胎内仏として発見された毘沙門天像は、左手に掲げた水晶玉に、伝教大師・最澄が持ち帰ったという仏舎利が納められているという小像で、仏師・湛慶の作とされます。

中厳円月の像もまるで生きているかのような見事な彫刻で、脇にある木村英輝さんの絵や、金澤翔子さんの書も必見。2021年には、中国のビジュアルアーティスト、陳漫(チェン マン)氏により新たに天井画「墨龍図』が奉納され、寝そべって眺めてもOKというのも面白いです。

霊源院は玄関から部屋全体が見渡せるほどの広さしかありませんが、部屋の奥のお庭と玄関付近にガクアジサイの変種である甘茶が咲いています。甘茶の花だといわれないとアジサイだと思ってしまうような花です。青い花は涼やかで、暑くなる今の時期にはぴったりです。

甘茶は仏教には関わりのある植物です。仏教の祖であるお釈迦様が生まれた時に甘露の雨が降り注いだという伝説があり、4月の灌仏会では天地を指さす釈迦の誕生仏に甘茶をかけるという経験をされたことのある方もあることでしょう。

2020年には庭園が一新され「鶴鳴九皐(かくめいきゅうこう)」の庭と名付けられています。造園家の中根行宏氏、中根直紀氏(中根庭園研究所)により作庭された、中根金作の系譜を受け継ぐ美しいお庭です。達磨大師や一休禅師像も置かれていますので、探してみて下さい。

他にも今川義元のゆかりや茶室など、歴史や見どころの多い霊源院。甘茶の美しい眺めとともに、ぜひその魅力を感じてみて下さい。甘茶の花は今が見頃です。公開は11時~14時30分最終受付とお昼前後の時間に限られていますのでご注意ください。

ガイドのご紹介

京都検定1級に5年連続最高得点で合格(第14回合格率2.2%)、「京都検定マイスター」。気象予報士として10年以上。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。毎月第2水曜日にはKBS京都ラジオ「笑福亭晃瓶のほっかほかラジオ」に出演中。「京ごよみ手帳 2022」監修。特技はお箏の演奏。
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