雲ヶ畑に建つ志明院

先日、鴨川の源流域、岩屋山志明院へと足を延ばしてきました。

志明院

志明院は京都の北、賀茂川に沿って北上した雲ヶ畑の最奥地にあります。お寺の標高は450m~470m程で、バス(もくもく号:ジャンボタクシー)の着く、岩屋橋からが急勾配となっています。交通機関は、2012年3月末で京都バスの路線が廃止されてしまい、現在は自治会が運営するバスが一日2往復運行するのみとなっています。そのため基本的には自家用車でないと大変行きにくい場所となってしまいました。なお、以前に何度か私は自転車で訪れました。遠く厳しい場所ですが、根性があれば不可能ではないでしょう。

志明院

志明院は鴨川の源流域にあります。役行者(えんのぎょうじゃ)が創建し、弘法大師・空海が「鴨川の水源地を守り祈願しなければ、鴨川の治水はならない」と淳和天皇に進言して再興しました。正しくは金光峰寺(きんこうほうじ)といいます。境内は行場としての雰囲気が強く、歌舞伎の「鳴神」の舞台としても知られ、龍神を閉じ込めたという洞窟もあります。鳴神上人と雲の絶間姫(くものたえまひめ)の話は面白いですので、是非、あらすじを知ってから訪れるとよいでしょう。その他、大きな岩や、岩から神聖な水が涌く場所もあります。

志明院

境内は、山門前までは写真撮影が許されていますが、お寺の方に一言伝えてからの方がよいかもしれません。山門から先へは、かばんなどの持ち物を預けて入って行くことになります。行場ですので、もちろん歩きやすい靴で訪れるようにして下さい。また、自然環境は厳しく、特に冬場は1mも雪が積もることがあるそうです。近年はシカの食害で山の下草が無くなり、大雨が降ると山肌が崩れやすくもなっていて、2018年の台風でも大きな被害が出ています(寄付を募っておられます)。悪天時には拝観を休止することもあるため、天気にはご注意ください。

志明院

志明院は4月後半に咲くシャクナゲで知られます。山門前に密集して美しい花を咲かせます。実は志明院には天然記念物の「シャクナゲ林」もありますが、そちらには基本的には行くことができませんのでご注意ください。門前のシャクナゲも十分見事です。

志明院 シャクナゲ 2013年撮影

志明院は檀家さんがおらず、厳しい自然の中でなんとか寺院を維持されておられます。現在は宿坊は行っていないそうですが、かつて司馬遼太郎が志明院に泊まった際、障子がガタガタと揺れたり、屋根が鳴りだしたりという不思議な体験をされた話も有名です。宮崎駿監督はその話を聞いて「もののけ姫」の制作を考えられたのだとか。鴨川の源流に立つ寺院として、ダムの反対運動などでも知られています。機会がありましたら、訪れてみて下さい。

志明院

ガイドのご紹介

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京都検定1級に6年連続最高得点で合格(第14回合格率2.2%)、「京都検定マイスター」。気象予報士として20年。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。毎月第2水曜日にはKBS京都ラジオ「笑福亭晃瓶のほっかほかラジオ」に出演中。「京ごよみ手帳 2022」監修。特技はお箏の演奏。

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