11月初めに、丹後の大江山連峰にある「赤石ヶ岳」に登ってきました。
丹後は「海の京都」として知られる一方で山がちでもあり、特に大江山周辺は鬼の酒呑童子(しゅてんどうじ)が住んだというほど山深い地域でもあります。山が連なる大江山連峰の中でも最高峰が千丈ヶ嶽の約833m。与謝野町の加悦(かや)の側から見ると、東にあるひときわ高い山がそれで、丹後地方の最高峰でもあります。大江山は特定の山を指すのでは無く、連峰となっている山並み全体を指す呼称です。
加悦から見て南側にそびえる三角形の山が、今回ご紹介する「赤石ヶ岳」。標高は約736mで大江山連峰の一番南西にあり、大江山連峰を縦走するルートのひとつとしても山登りを楽しめます。アクセスは千丈ヶ嶽方面から縦走して南下するルートもありますが、今回は加悦双峰公園まで車で行き、そこから赤石ヶ岳を単独で登ってきました。
公園が約500mほどの標高にあるため、実質登るのは230mほどになるでしょうか。それでも足場が悪い場所があったり、熊などの動物と遭遇する恐れもありますので、できるだけちゃんと山へ登る装備で来られるとよいでしょう。
公園から登り始めると、途中で赤石ヶ岳と千丈ヶ嶽方面への分岐があり、今回は赤石ヶ岳方面へ。道は最初は一本道で、振り替えると千丈ヶ嶽を含めた雄大な山の眺めを楽しむことができます。南の方向には三岳山(みたけさん、約839m)が独立した山塊として望め、酒呑童子の鬼退治に際して源頼光が三岳山に登り、大江山連峰を眺めて、立ち上る煙から鬼の棲む窟屋を見つけるという伝説もさもありなんと思いました。三岳山の名称の由来は「見立山」ともいわれ、修験道の山でもあります。実は別の機会に三岳山の登り口のある麓の金光寺まで訪れたことがありますが、三岳山にも遠からず時候のよいときに登ってみたいと思います。
さて、最初は眺めもよかった赤石ヶ岳ですが、徐々に山の名にもなっている赤い石が増えて、岩場登りとなる場所も出てきます。なかなかの急登で、岩(石)は先が尖ったものもあり、踏み外しや転倒の際に怪我をする恐れもありますので細心の注意をして足場を確保しつつ、登って頂くと良いでしょう。道については矢印が書かれていますので概ね大丈夫ですが、特に下りは迷う可能性もあると感じましたので、しっかり進むべき経路を確認して降りていくとよいでしょう。
山の名称ともなっている赤い石は「蛇紋岩(じゃもんがん)」と呼ばれる石だそうで、欠けている部分は赤くない石の風合いを観察できます。この赤石ヶ岳と、千丈ヶ嶽を除いて大江山連峰の東側の赤岩山にかけては「大江山超苦鉄質岩体地域の鉱物」として、京都府レッドデータブックにも掲載されています。4億年以上も前の遠い昔の海洋性の地殻が、こうして山の上にあるのも興味深いです。鉄分を多く含むようですので、赤い色は鉄分に由来しているのかも知れません。日本シームレスの地質図を見ると、大江山連峰の地質の特異性がわかります。
さて、足下に気を付けつつ登ること30分余り。無事に赤石ヶ岳の山頂に到着です。山頂からは南側の眺望が開け、遠く福知山まで見えているようでした。北へ少し降りると加悦谷を一望でき、磯砂山や金剛童子山、依遅ヶ尾山といった丹後の主要な山々を視認することもできました。
今回は無理をせずに、このまま加悦双峰公園まで下山しました。来年以降に機会がありましたら、千丈ヶ嶽にも登ってみたいと思います。
ガイドのご紹介
京都検定1級に5年連続最高得点で合格(第14回合格率2.2%)、「京都検定マイスター」。気象予報士として20年。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。毎月第2水曜日にはKBS京都ラジオ「笑福亭晃瓶のほっかほかラジオ」に出演中。「京ごよみ手帳 2022」監修。特技はお箏の演奏。
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