青蓮院の境内は、キリシマツツジが咲いて新緑の中に赤い色彩が加わる光景が見事でした。
青蓮院は天台宗の数あるお寺の中でも、天皇の皇子や摂関家の子が門主(住職)を代々務めた門跡寺院として高い格式を誇るお寺で、江戸時代には後桜町上皇の仮の御所としても使われました。更には天台宗に伝わる秘法(熾盛光法)を伝え、全国でも青蓮院だけの御本尊・熾盛光如来(しじょうこうにょらい)は、国家の安泰や国民の繁栄、天変地異を鎮め、皇室を加護するなど、国家的な災厄を鎮める仏様として信仰されています。
平安の昔から続くこれだけの格式があればこそ、そのお庭も当代きっての名作庭家が手掛けたといわれます。主庭は、室町時代の相阿弥の作庭と伝わり、室内からの眺めも見事。そこから連続するもう一つのキリシマツツジが美しいお庭は、二条城・二の丸庭園や南禅寺の方丈庭園も手掛けたとされる江戸時代初期の小堀遠州の手によるお庭とされ、歩いて散策をすることができます。
青蓮院の魅力の一つは、建物からの眺めと歩く眺めの両方を楽しむことが出来る点です。皇室とつながりの深い門跡寺院ということで、建物は御所風です。最初に入る華頂殿からは額縁のようにお庭を眺めることができ、じっくりと座って風景を眺め、雨や滝の音に耳を澄ませて過ごせば、この部屋だけでも時間があっという間に過ぎていくことでしょう。新旧の素晴らしい襖絵も眺めつつ、小御所や宸殿(屋根の修復中)などを歩けば、一歩ごとに変わっていくお庭の様子に、あちらこちらでカメラのシャッターを押したくなります。
一方、お庭を散策すれば、現在は「霧島の庭」の由来となったキリシマツツジが咲き、深い赤色の花を咲かせています。柔らかい楓の新緑に包まれた散策路を歩いていると、突然目の前に現れる深紅のツツジ。この赤色の見事さは他の追随を許さないほど赤の中の赤色で、お庭の冠を飾るにふさわしい花です。週末にかけて見頃が続きそうです。
ガイドのご紹介
京都検定1級に6年連続最高得点で合格(第14回合格率2.2%)、「京都検定マイスター」。気象予報士として20年。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。毎月第2水曜日にはKBS京都ラジオ「笑福亭晃瓶のほっかほかラジオ」に出演中。「京ごよみ手帳 2022」監修。特技はお箏の演奏。
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