10日まで六道珍皇寺で六道まいりが行われ、先祖を迎える「迎え鐘」の音が響いていました。
京都もお盆の行事が始まっています。お盆は先祖のお精霊(しょうらい)さんを迎える時期で、迎え鐘を撞いて霊を呼びます。10日まで行われていた「六道まいり」では、六道珍皇寺の入口で高野槙(こうやまき)が売られ(ただし10日夜は販売終了していました)、この高野槙に精霊は宿って自宅に帰るとされます。高野槙は古墳時代前期の木棺としてもよく使われ、後にヒノキにとって代わられるものの、古くからこの世とあの世を繋ぐ木として信じられていたのかもしれません。
六道珍皇寺では小野篁が閻魔庁へと行く際に使ったとされる井戸の脇にも高野槇があり、篁はその枝をつたって井戸に入ったとされます。なお、お精霊迎えの風習は宗派によって異なります。さて、六道珍皇寺の迎え鐘は、中国まで音が響いたとの伝説を持つ鐘で、そこから「あの世」にまで聞こえるはずということで、お精霊迎えの「迎え鐘」となりました。
あの世を行き来した小野篁の大きな像や、閻魔像も大きく扉を開けて公開されました。最澄作とされる端正なお顔の薬師如来座像(重要文化財・旧本尊)は令和6年3月まで修復とのことで、台座内より発見された胎内薬師仏が祀られていました。いわゆる地獄絵(熊野観心十界図)の公開もあって、まさに非日常の空間。私も亡き家族を思い参拝させていただきました。京都では16日の五山の送りにかけてお盆の行事が各地で行われています。
ガイドのご紹介
京都検定1級に6年連続最高得点で合格(第14回合格率2.2%)、「京都検定マイスター」。気象予報士として20年。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。毎月第2水曜日にはKBS京都ラジオ「笑福亭晃瓶のほっかほかラジオ」に出演中。「京ごよみ手帳 2022」監修。特技はお箏の演奏。
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