鞍馬寺の雲珠桜

今回は鞍馬山の雲珠桜(うずざくら)をご紹介します。

鞍馬寺

鞍馬山に咲く桜は雲珠桜(うずざくら)と呼ばれます。これは具体的な品種を指すのではなく、常緑の木々が覆う鞍馬山を点々と白やピンクで染める桜の様子が、平安時代の唐鞍(からくら)という馬具の飾り金具の「雲珠」に似ているためにそう呼ばれています。なお、雲珠そのものは古墳から副葬品として出土することもあり、実際には相当古い時代からあるものです。また、鞍馬は文字通り「馬の鞍」と書き表すので、雲珠桜には言葉遊びの意味合いもあるのでしょう。

鞍馬寺

一方で「渦桜」や「鞍馬雲珠」という園芸品種もあるので話がややこしいのですが、仁和寺境内に咲く桜を総称して「御室桜」というように、鞍馬山で咲く桜は、ソメイヨシノも山桜も、枝垂れも八重も、全てを含めて「雲珠桜」と呼ぶのです。雲珠桜は平安の昔から和歌にも詠まれ、はるか昔から人々の心を捉えてきました。雄大な自然の中で、恐らく今も当時と大きくは変わらない美しさを感じられるのではと思います。

鞍馬寺

現在の鞍馬寺では、仁王門周辺がまず美しく咲くポイント。その先、由岐神社から九十九折の参道にかけては、ほとんど桜はありませんので、無理せず片道200円のケーブルに乗ることをお勧めします。実はケーブルを降りてすぐの多宝塔前も枝垂れ桜が美しいスポット(6日の時点では咲き始め)。やはりこうした建物と桜の取り合わせは絵になります。

鞍馬寺

山中を歩き、本殿金堂の前まで来るとこちらも桜が美しく咲き誇っています。ソメイヨシノや山桜など数種類の桜が植えられているようです。奥に広がる山並みをバックに咲く桜は見事で、京都の街中では味わうことができない桜の光景です。

鞍馬寺

この広場の西には、瑞風庭と呼ばれる庭があります。650万年前に人類救済のために金星からやってきた護法魔王尊ことサナート・クマラが、鞍馬山に降り立つ場面を現しているお庭です。ちなみに護法魔王尊は天狗のようなお姿で現され、本殿金堂では秘仏ですが、瑞風庭の隣にある光明心殿ではお姿を拝することもできますので、参拝してみてください。

鞍馬寺

瑞風庭に話を戻すと、お庭には特徴的な円盤型の砂盛があり、ちょうど散った桜が美しく飾っていました。この砂盛は、護法魔王尊の乗り物「天車」をかたどっており、護法魔王尊が金星からやってきたとするならば、それすなわちUFOということになります。そういわれると、しっくりくる形をしています。眺めもよく、自然がいっぱいの境内。是非、桜の時期に一度は見ていただきたいお寺です。

ガイドのご紹介 吉村 晋弥

京都検定1級に7年連続の最高得点で合格(第14回合格率2.2%)、「京都検定マイスター」。気象予報士として20年。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。毎月第2水曜日にはKBS京都ラジオ「笑福亭晃瓶のほっかほかラジオ」に出演中。BS朝日「あなたの知らない京都旅」、KBS京都(BS11)「京都浪漫」出演。特技はお箏の演奏。

散策・講座のお知らせ

【散策受付中!】
4月22日(月)10時~12時半頃
建仁寺の牡丹とキリシマツツジ 鐘が音が響く知恩院の大鐘楼へ

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奥深い京都へのいざない!マニアック京都講座
その8 「ゴールデンウィークの京都を楽しむ」

4月24日(水)14時~16時、18時半~20時半頃
4月28日(日)18時~20時頃
5月:京都 惟喬親王ゆかりの地、6月:愛宕神社と愛宕山

【散策受付予定】
5月11日(土)13時30分~ → 新スポット誕生!新緑が輝く建仁寺の「西来院」へ!
5月14日(火)午後 → 門跡寺院・妙法院の特別公開!
5月15日(水)9時半~12時 → 葵祭(16日予備日)

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