青い空 輝く季節


27日の京都は快晴の空が広がりました。真っ青な空に、楓の新緑が透き通るようなエメラルドグリーンで輝いて、本当に綺麗でした。京都では明日(28日)にかけて、絶好のお出かけ日和が続きます。

京都の最高気温は23.4℃。かといって蒸し暑くはなく、湿度は20%台。カラッとした気持ちのよい一日でした。日差しは真夏のように強い一方で、空気は春先のように乾いていて、春と夏が同居している季節。実はヨーロッパの真夏は、今日のような天気です。しかも大陸は乾燥しているので、後で書くように空は青く、高緯度にあるため昼も長い。ヨーロッパ人が夏に好んでバカンスを取る気持ちがよくわかります。一方で、桂離宮を絶賛したことで知られるドイツ人のブルーノ・タウトは、日本の夏を「太陽は雲をこがし、大気中の水蒸気を熱気と化する。その中にいる人間はまったく熱湯中の魚である」と表現しています。湯の中へと入ってしまわないうちに、心地よい今の時期の晴天を思いっきり楽しみたいですね。

今日の京都は、空の青さが際立ちました。光には波長の違いによって分類があり、目に見えない紫外線と赤外線、そして目に見える可視光線があります。可視光線は「虹」で見られるように、波長の異なるいくつかの色の光の集合体です。光は、その波長よりもずっと小さな分子にぶつかると、波長の短い系統の光がより強く散乱される性質を持っています。そのため、可視光線の波長よりもずっと小さな空気の分子にぶつかった太陽光は、波長の短い青系統の光がより強く散乱され、四方八方に飛び散った青の光が空を青く染めます。

一方で、可視光線の波長と同じかそれ以上の大きさがある、水蒸気やチリなどにぶつかると、波長にかかわらず一様に散乱されて、混ざり合った色は「白く」散乱されます。雲が白いのはそのためで、水蒸気の多い空は白っぽくなりがち。今日のように空がいつもより青く見える時は、空気の透明度が高く、特に水蒸気が少なくて乾燥しています。春はチリやほこりが舞いやすく、気温が上がると空気が含める水蒸気の量も増えるため、空が真っ青に見えるのはなかなか貴重な機会でした。

南北に長い日本列島では、地域ごとの季節の幅が出やすい時期でもあります。北海道では桜はまだこれから。かたや沖縄では梅雨入り間近で、一時的に真夏の蒸し暑い空気に覆われることもありそうです。本州太平洋側に住む人から見ると、北へ行けば時間をさかのぼれ、南へ行けば未来へと行くことができます。パスポートの要らない時間旅行が出来てしまうのも、今の時期ならではですね。

京都は新緑や木漏れ日が輝く季節。とにかく明るく美しい。日差しが楓の葉を透かしてキラキラと輝くさまは、まさに宝石のようです。紅葉の名所は、そのまま新緑若葉の名所に変わります。連休は京都の紅葉の名所を訪ねて見られるのも、たいへんお勧め。5月は急な雷雨も起こる季節で、明るい空の下、日差しに輝きながら降る粒の大きな雨のことを「白雨」ともいいます。そして、雨の後の新緑の輝きも実に素晴らしく、そんな春の雨上がりの緑を吹き抜ける風は「光風」と呼びます。雨は白く、風は光る。まさに「雨奇晴好」。桜が終わると、いよいよ輝く季節に入ります。

ガイドのご紹介
吉村 晋弥(よしむら しんや)

吉村 晋弥気象予報士として10年目。第5回京都検定にて回の最年少で1級に合格。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。特技はお箏の演奏。

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