芒種の京都 降らない雨

嵐山 渡月橋
6月5日は二十四節気の一つ、芒種(ぼうしゅ)でした。

深泥池芒種は二十四節気の中ではマイナーな節気と言えるでしょうか。芒種とは米や麦など「芒」のある穀物の「種」をまく頃という意味です。「芒(ぼう・のぎ)」とは、穀物のタネの先にある細長いチクチクした突起です。現代では芒種の時期は種をまくというよりも田植えをする時期かと思いますが、梅雨に入る今の時期は稲の生育にとって大変に重要。もうじき伏見稲荷大社では田植祭も行われます。

八坂神社梅雨入り早々、梅雨前線は日本の南へと下がり、晴れの日が続いています。結果的に梅雨入りの発表は「はずした」感が強いですが、あの段階での梅雨入りそのものは、多くの予報関係者にも異論はなかったと思います。にもかかわらず当たらないわけですから、「できないものはできない」とはっきり世に伝えて、潔く梅雨入り(梅雨明け)発表はやめてしまうのも一案ではと思います。

貴船神社 奥宮梅雨は「空の水道」とも呼ばれることがありますが、この先しばらくも水道は南に下がったまま。来週初めに太平洋高気圧が一時的に強まりますので、その辺りから梅雨らしくなる可能性はあるものの、高気圧がしっかりと日本を覆えば、梅雨どころか一時的に「真夏」となる可能性もあります。京都では最高気温が35℃を超えて「猛暑日」となる恐れもあり、本日(6日)発表の京都の週間予報では10日(月)の京都の気温は、最大で37℃となる可能性が示唆されています(ただし可能性の振れ幅は31℃~37℃と非常に大きいので注意)。

祇園白川6月の猛暑日は珍しく、京都の過去130年を超える観測史の中でもたった6日しかありません。しかし、そのうち2日は2011年に観測され、2005年にも1日あります。こう書くと温暖化の影響もあるように感じますが、2011年と2005年は6月も終わりの頃に観測されていますので、来週の気圧配置は温暖化の域を超えた「異常」な状態であることが分かります。明日(7日)発表の1か月予報は要注目で、降水量が多くなる傾向を示していた予想に変化がないかがポイントとなりそうです。

叡山電車芒種の次の節気は「夏至」。夏至は昼の長さが最も長くなる日ですが、実は日の出が最も早いのは芒種から夏至の間です。京都の場合は、今日(6日)の日の出は4時43分ですが、10日に4時42分となって今年の日の出の最も早い時刻を記録します。そのまま16日まで4時42分の日の出が続き、17日以降は4時43分になります。昼の長いこの時期、今しばらくの雨が降らない間に、あちこち出かけるのもありかもしれませんね。さて、今回も最後は、嵐電の京都二十四節気の動画を掲載しておきます。

ガイドのご紹介
吉村 晋弥(よしむら しんや)

吉村 晋弥気象予報士として10年。第5回京都検定にて回の最年少で1級に合格。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。2011年秋は京都の紅葉約250カ所、2012年春は京都の桜約200カ所を巡る。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。特技はお箏の演奏。

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