10月としては記録的な暑さが続いています。台風24号の進路も気になるところです。
カレンダーを見なければ10月だと分からないほど、暑い日が続いています。気温が30℃以上になる日を真夏日と呼びますが、10月6日の京都は最高気温が31.4℃に達し、133年間の観測の歴史の中で、10月としては歴代4位の高温となりました。また、統計的な平年値(1981年~2010年)では10月に30℃を超える日は「0.2日」しか確率的には発生しません。つまり、5年に1日あるかどうかなのですが、今年は10月1日にも30℃を超えていますので、すでに2日も記録しています。昭和36年に「3日」という記録はありますが、滅多にないことではあります。
この暑さをもたらしているのは太平洋高気圧です。今は、専門的な天気図を見ても真夏のような気圧配置をしています。さすがに日差しが弱まってきていますので猛暑日とはなりませんが、30℃を超えて「真夏」の暑さをもたらしています。また、台風が立て続けに発生して、台風が吸い上げた空気がその周りで下降気流となって高気圧を強め、台風が日本から見ての西寄りを通ることで、台風からも南風が送りこまれていることも、季節外れの暑さの原因でしょう。また、地形的に山越えとなりフェーン現象が起こっている場所で、やはり顕著な高温となっています。
台風24号は、沖縄に接近した後、九州の西を通過して向きを変え、九州北部や中国地方に接近する進路予想となっています。今のところ九州沿岸というよりは、距離を保って進んでくる見込みです。九州と朝鮮半島の間を通って日本海に入る公算が一般論的には大きいでしょう(7日06ZのGSMもその予想です)。日本を回り込むようなコースをとるのも、東から覆う太平洋高気圧の勢力が強いためです。日本付近が高気圧によってガードされているために、台風は日本本土に近付くことができず、その周りを進んで行きます。この暑さのおかげで直撃を免れていると思えば、多少は我慢もできそうです。
ただ、日本海に入った台風は、温帯低気圧に変わりながらも中国地方ないし北陸に上陸する恐れがあります。今回の台風はコンパクトにまとまっていて、進行速度が比較的早いため、本体が近づくと急に雨風が強まる可能性があります。進路にあたる地域では最新の情報に十分にご注意ください。また、台風から離れていても、台風がもたらす湿った空気の影響で、九州東部などでは激しい雨が降る可能性があります。京都市街地では大きな影響はないと見ていますが、最接近する9日は天気が崩れて南風が強まり、ビル風など突風には注意が必要です。
なお、過去の記録を見ると例年であれば10月20日までは台風が上陸する可能性があります。今年は記録的な暑さとなっているため、今後も台風の接近は十分にあり得ます。10月20日を過ぎて上陸した台風は、1951年以降の統計上は過去に2個しかありませんが、この様子では今年は油断がなりませんね。
台風が過ぎ去った後は、少し遅れて寒冷前線が南下はしてくるものの一時的で、その先は再び夏の高気圧が勢力を戻してきます。確率は高くはありませんが、気温が再び30℃を超えてくる可能性もあります。まだまだ10月らしくない日中の暑さとなりそうです。反面、秋は「夜長」の季節。朝晩は昼間の暑さの割に冷えて寒暖差が大きくなりますので、天気予報の気温表示の前日差をよく見て頂いて、体調を崩されないよう十分にご注意ください。
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ガイドのご紹介
吉村 晋弥(よしむら しんや)
気象予報士として10年。第5回京都検定にて回の最年少で1級に合格。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。2011年秋は京都の紅葉約250カ所、2012年春は京都の桜約200カ所を巡る。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。特技はお箏の演奏。