8日は関東や東北で記録的な雪となりましたが、京都はその前の2月5日に洛北を中心に雪が少し積もった日がありました。私は、いつもより早起きをしてまずは京都御苑へと向かいました。烏丸丸太町に近い出入口から苑内に入ると、すぐの場所にある拾翠亭へと続く短い参道には、山茶花がうっすらと雪化粧をしていました。美しいですね。
この日は気象台では1cm以上の積雪は観測されておらず、雪の量が少なかったため、御苑にもそれほど雪は無かったのですが、御所の門の檜皮葺きの屋根は白くなっていました。御所の正面の門が建礼門。葵祭も時代祭も、行列はこの門の前からが公式の出発となっています。普段は地元の方が前を横切っていく場所でもあります。歴史的な門が日常に溶け込んでいるのも京都ならではかもしれません。ちなみに、この門は天皇陛下が来られたり、国家元首クラスの来賓がある時に開かれます。
御所に東にある建春門は、朝日を浴びて写真写りも綺麗です。ただ、その分屋根の雪は融け始めていました。この門は、皇太子殿下や皇后陛下が通る際に開かれる門で、江戸時代には勅使がこの門を使用しました。烏丸通側から見ると御所の裏側にありますので、比較的影が薄い門ですが、個人的には好きな門。午前中は特に綺麗な写真が撮れることが多いですね。
御所の東を通って北側に回ると、朔平門(さくへいもん)が横からの朝日を浴びて、金色の金具が見事に光り輝いていました。雪の日は、こうした一瞬一瞬がまさに一期一会で、しばらく見ている間にも雪が融けて行ってしまいます。ゆっくり眺めていたいですが、雪の日は時間勝負ですので、名残を惜しみながら先へと進みました。
近衛邸跡を覗くと、枝垂れ桜にもうっすらと雪が積もっていました。あと2カ月足らずでこの桜は花開き、京都に本格的な春の訪れを告げてくれます。今から待ち遠しいですが、目の前の風景はまだ真冬。この状態から、いったいどうやって植物は芽吹くのかが不思議なくらいです。「不審にして花開く今日の春」だなぁと思いながら、御苑を後にしました。この日は、鷹峯の源光庵や西賀茂の正伝寺の雪景色も眺めてきましたので、また近日中にご紹介できればと思います。
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ガイドのご紹介
吉村 晋弥(よしむら しんや)
気象予報士として10年以上。第5回京都検定にて回の最年少で1級に合格。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。2011年秋は京都の紅葉約250カ所、2012年春は京都の桜約200カ所を巡る。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。特技はお箏の演奏。