夏至と暑さの関係


6月22日は夏至。昼の時間が最も長くなる日です。織田信長が桶狭間で今川義元を破ったのは、今の暦(グレゴリオ暦)で6月22日。当日は急な豪雨が降ったそうですが、梅雨の気まぐれな空が雨を降らせたのでしょう。
さて、この時期は太陽の高度も高く、太陽から受けるエネルギーが最も強くなります。となると、夏至のあたりが一年で一番暑くなりそうですが、そうはならない理由を解説します。なお、前回書きましたが、夏至が日の出の時間が最も早かったり、日の入りが最も遅い日とも限りませんのでご注意ください。

太陽からのエネルギー

最初に、夏至のころの太陽エネルギーについて確認します。「太陽エネルギーが強い=気温を上げるパワーがある」となります。
太陽から受ける一定の面積当たりのエネルギーは、太陽の高さ(仰角)と関係があります。「昼の長さ」や「太陽までの距離」とはあまり関係がありません。「昼の長さ」が気温に影響するとなると「白夜」のある高緯度の気温がぐんぐん上がってしまいます。「太陽までの距離」は、実は夏の頃が最も遠く、反対に冬の頃が最も近くなっています。太陽との距離は気温にはほとんど影響していないのです。
太陽の高さ(仰角)と、受けるエネルギーの変化は「影」の長さで感じることができます。朝や夕方は影が長くなり、昼は短くなることに気が付く方も多いと思います。太陽が高い方が「頭一つ分」のような一定の面積当たりに受けるエネルギーの密度が濃いことになります。夏至の頃がもっとも太陽の高度は高いので、太陽エネルギーも最も強い時期になります。そして、一年の中で影が最も短くなる時期でもあります。

地面や海と空気の温まりやすさ

さて、気温の変化も太陽からの熱によって引き起こされるものですが、太陽の光はを空気を直接温めることがほとんどできないため、地表や海がまず温められ、そこから間接的に空気が温まります。地面と海と空気とはそれぞれの温まりやすさに違いがあり、しかも空気は間接的に温かくなるので、そこに時間差が生まれます。これが夏至の時期が最も暑くならない理由。
ちなみに、高い山に登ると太陽に近くなるのに反対に寒くなるのは、同じ高さで比べると広い地面から離れていくからです。また、太陽に近いとは言ってもそれは1億5千万kmもある地球と太陽との平均距離のうち、たった数kmだけの話し。「km」をお金の「円」に換算してみると、エベレストも富士山も海の上も、太陽までの距離はほとんど変わらないことが実感できます。
話を戻します。晴れた日に気温が最も高くなるのは午後2時頃ですが、それも先程と同じ理由で、最も太陽が高い正午頃から遅れて気温はピークを迎えます。季節の変化も一日の変化も、スケールは違えど基本的には同じ理由で変化しています。
また「昼間に温められる分 -(引く) 夜に冷える分」がプラスならば気温が上がり続けると考えると、夏至を過ぎてもまだまだ日差しは強くて昼に温められる分の方が多いため、熱がたまっていきます。

現実の気温変化

ところが、以上のことは一般論で、実際の気象の変化は複雑です。日本付近は梅雨の時期は雲に覆われることが多く、太平洋高気圧に覆われる真夏の暑さとのギャップがありますし、沖縄と京都の最高気温のピークを見比べると、時期がずれているのがわかります。日々も様々な要因で気温は変化していますが、平均化すると総じて夏至の時期よりは後になっています。
太陽の力は冬に向かって徐々に落ちて行くものの、それが気象に影響を及ぼすのはまだ先のこと。京都では夏至を過ぎてから気温が下がり始めるまで、1ヵ月半ほどかかってしまいます。暑い夏はまだまだこれからですが、紫外線の強さはこの時期が最も強いので、晴れた日の対策はしっかりと行ってお出かけください。

ガイドのご紹介
吉村 晋弥(よしむら しんや)

吉村 晋弥気象予報士として9年目。第5回京都検定にて回の最年少で1級に合格。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。特技はお箏の演奏。散策メニューはこちらから

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