京都の”冬”が消えている! ヒートアイランドで高温化

今回は暑い時期に冬の話です。先日、気象庁からヒートアイランド監視報告が発表されました。それによると、京都を含めた各地で、この80年間にずいぶんと気温が上がっています。また、遠くない将来には、京都で気温が氷点下まで下がる「冬日」がほとんど消えてしまう可能性を感じます。

気象庁では、気温が氷点下まで下がる日を「冬日」、一日中氷点下の日を「真冬日」としています。実は既に東京や福岡では、冬日は年平均で6日以下しか発生しなくなり、「冬日0日」の年も珍しくはありません。気温は地上1.5mで計っていますので、地面の水たまりに氷が張らなくなるのはまた別の話ですが、少なくとも公式発表では氷の張る温度まで気温が下がることは滅多に無くなったのです。

都市化の影響でヒートアイランドが叫ばれています。実際に気温の長期的な変化傾向を見ると、確実に上昇していることがわかります。中でも最低気温は影響が大きく、京都では100年間で3.9℃も最低気温が高くなる変化率となっています。

気温上昇の大きな要因は都市化です。アスファルトによる舗装や建物により、水分を含んだ地面や草地が少なくなって熱が逃げず、さらには建物が熱を吸収したり風をさえぎるなどして、冷めにくくなっています。一方で、クーラーなどの人工排熱の効果は、実はあまり大きくありません。

1981年から2010年までの30年間で、京都の冬日の年間平均は約23日です。しかし、70年から80年ほど前は年間50日以上の年が普通で、多い年には年間90日を超える年もあったのです。近年では年に10日以下の年も散見されるほど暖かくなりました。それにしても年間90日。真冬の12月下旬から2月は、ほとんど毎日が氷点下というのは今では信じられない気候です。

長期的な変化傾向では、京都の冬日は10年に8.2日のペースで減っています。今のペースだとあと20年ほどで京都も東京や福岡などと同様に「冬日」が稀になってしまう計算です。ただ、福岡や東京と違うのは京都が内陸であること。盆地で冷気がたまりやすいので、この先実際にどこまで減っていくかは未知数ですが、まだ減る傾向は続いているようです。

京都の冬の朝はずいぶんと暖かくなりました。当然、夏も暑くなっています。京都は全国でも有数の暑い都市です。さらに京都の中での傾向としては、市役所や四条河原町などの市の中心部から見て、南や西の方向にヒートアイランド化するようです。今回気象庁が発表した大阪の事例でも、京都市の南西部から向日市方面にかけて高温域があるのが見て取れます。また、別の文献でも似たような傾向が出ていました。京都の気象台は円町にありますので、それらの地域では京都の公式発表の気温よりさらに高いことになります。

考えられる理由は鴨川の存在により、四条や河原町周辺の繁華街では気温上昇が抑えられ、相対的にそれよりも西や南側に高温域が発生することです。鴨川からの涼風を積極的に取り込む「風の道」を作る構想もありますが、詳しい研究が待たれます。

さて、これだけ気候が違ってくると、単純に昔の方が今より寒かったとなりそうですが、しかしそうとも言い切れません。温度計での観測史はまだ130年ほど。平安時代や戦国時代の頃といった数百年の単位の比較では、もっと慎重に考える必要があります。平安時代の前半は温暖だったとする説もあり、今後の研究の進展で具体的な数字で今との違いが分かり、当時の人と感性を共有できれば面白いと思います。

ガイドのご紹介
吉村 晋弥(よしむら しんや)

吉村 晋弥気象予報士として9年目。第5回京都検定にて回の最年少で1級に合格。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。特技はお箏の演奏。散策メニューはこちらから

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です