大谷本廟のめがね橋


五条坂を登ったところにある西本願寺の大谷本廟。ここに「めがね橋」と呼ばれる橋があり、ハスが咲いています。
めがね橋と呼ばれる所以は、少し横から見たこの形。下側が池に映ると、本当にめがねのようになるそうです。普通に通ると気が付かずに渡ってしまう橋でしょう。正式には円通橋(えんつうきょう)と言い、池は皎月池(こうげついけ)と言います。お墓にご縁のある方を除いては「知る人ぞ知る」場所になってしまいましたが、実は江戸から明治の時代には京都の観光名所として知られていました。現在は京都の蓮と言えば、法金剛院や龍安寺・三室戸寺などが有名ですが、昔は蓮と言えばここの名前が挙がったのです。

橋は江戸時代の終わり1856年に造られた、京都の新名所でした。池の名にある「皎」は「月を明るく照らす」という意味で、蓮のない時期は月夜がさぞ美しかったのでしょう。蓮は橋が完成してから8年後の絵図には描かれており、橋の右と左それぞれに紅白の蓮が植え分けられ、彩が増す工夫がなされていました。当初から蓮の名所を意図して植えられていたのかもしれません。橋のたもとには茶店もあり、春には桜も美しく、夏には蓮を見ようと朝から人が訪れていたそうです。

現在の円通橋は、車の行きかう五条通と東大路の交差点から清水へ上る坂の近くで、都会の喧騒に満ちています。当時の蓮の子孫かは分かりませんが、今でも蓮の名所だったころの面影はあります。紅白の蓮は既に無いようで、私が見た時にはピンクの蓮だけが咲いていました。春にはソメイヨシノも橋のたもとに咲いています。有名ではなくなりましたが、往時をしのぶことは出来そうです。

ガイドのご紹介
吉村 晋弥(よしむら しんや)

吉村 晋弥気象予報士として9年目。第5回京都検定にて回の最年少で1級に合格。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。特技はお箏の演奏。散策メニューはこちらから

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