20日・21日は京都の各町内で地蔵盆が行われました。今年は運よくふごおろし(畚下ろし・畚降ろし)を見ることができました。記事の最後に動画もあります。
21日はあいにくの雨。それでも各町内は子どもたちや大人の笑顔で賑わっていました。地蔵盆は各町内ごとに行われ、それぞれのスケジュールや催し物に特徴があります。地蔵盆の写真はFacebookのページにアップしました。ご覧ください。
「山鉾町では祇園祭が兼ねているため地蔵盆がない」と専門家の方から数年前に伺ったことがありますが、地元の方の話によると、開催できない理由は単純に子どもの数の減少によるものだそうで、行われている町内もあるようです。
ちなみに私の町内(三条町)では行っておりません。今日は地蔵盆が復活していると言われる町内を回ってみましたが、残念ながら開催されている雰囲気は感じられず、実際のところは確認できませんでした。同じような行事でも、祀られているのが地蔵か大日如来か、はたまた各町内の御神体か、あるいは信仰を伴わないイベントなのかなどで専門的には区分が異なり、地蔵ではないから「地蔵盆はない」となったのでしょうか。
さて、結論の出ない話は置いておくとして、各地で子どもたちの笑い声や町の人たちの笑顔が見られる様子は、とてもほほえましいものです。お地蔵さんは子どもたちを守って下さる仏様。地蔵盆は子どもたちのお祭りです。たくさんのお菓子ももらえ、福引ではおもちゃも当たります。お菓子や行事の時間には、子どもたちが鐘をたたいて町内に知らせます。水風船釣りや輪投げ、ビンゴにスイカ割り、缶を並べてボーリングのように遊ぶ町内もありました。
福引の際に行われるのが「ふごおろし」。現在では行われている町内は非常に少なくなっています。天気が悪いと中止されることもあり、今日は相当数の町内を回りましたが、偶然出会えたのは1か所だけでした。とてもラッキーです。「ふご」とはカゴのことで、これに2階から景品をのせて下ろします。
こちらの町内では「ふご」が上る時には、あらかじめ引いてある番号札をのせていました。くじを引いてもすぐには何が当たったのか分からず、上から景品が下りてくるというのは、面白い演出ですね。目当てのものが当たった時には歓声が起きていました。
京都では明治の初めに廃仏毀釈で地蔵が撤去され、地蔵盆も禁止になった時期があったそうです。そこから復活してきた現在の地蔵盆。町内の盛り上がりを見ていると、やはり楽しいものには規制はきかないのだと感じます。町内の人々のつながりもお祭りを通して保たれて行くのでしょう。この先も長く、このような風習が残って行ってほしいと願います。
ガイドのご紹介
吉村 晋弥(よしむら しんや)
気象予報士として9年目。第5回京都検定にて回の最年少で1級に合格。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。特技はお箏の演奏。散策メニューはこちらから。