台風12号 予想された大雨と増水する鴨川


台風の流れと高気圧を回る湿った空気が合流して紀伊山地を中心に豪雨が続きました。和歌山県・奈良県を中心に全国で70名を超える死者・行方不明者が出ており、浸水被害を含めると全国的に膨大な被害が出てしまいました。京都でも昨晩から今朝にかけて雨が降り、鴨川が増水していました。

予想された大雨

まず、亡くなられた方のご冥福を心からお祈り申し上げます。長く降り続く雨では山間の集落は基本的にはどこもが危険で、避難しようと思うときにはすでに川が溢れだしていたり道が寸断されているなど、大変に厳しい状況下に置かれてしまいます。そこにおられた方たちの時中の恐怖は計りしれないと思います。
実現性は深く考えずに書きますが、今回のように事前に多量の雨が降ると予測されていた地域では、自主避難や危なくなってからの近場への避難ではなく、雨が弱いうちにその地域(今回ならば紀伊山地)から脱出させるという、政治的・組織的な防災対策は講じ得ないものだろうかと考えてしまいます。アメリカではハリケーンの接近可能性が高まれば、まだ逃げられるうちに何十万人・何百万人に遠くへの避難命令を出します。日本では事前の大規模な避難を行ったという話も、避難する車で高速道路が渋滞するという話も聞いたことがありません。
気象予測は何のためにあるのか。暴風警報を出そうが大雨の予測を出そうが、最も大切な命を救えなければ意味がありません。予報の難しいゲリラ豪雨とは違い、今回はとんでもない雨量となることは具体的な数字はともかく事前に予測ができています。予測が予め出ていたことで、どれほどの人命を救えているのでしょうか。家は動かせません。大雨や暴風の現実も変えられません。しかし人は動ける動かせるのではないでしょうか。
また紀伊半島が凄惨過ぎるため報道がなされませんが、今日日中も三重県北部や岐阜県の河川水位を見ると、明らかに水が溢れている箇所があります。床上浸水は床にある物のほとんどが本当にゴミになってしまい、簡単に報道される印象以上に大変に厳しい災害です。ご自宅の床の上を見渡してみて下さい。立ててある家具も水の浮力で倒れることがあります。今回は北海道から西日本の広範囲で被害が生じる、恐ろしい被害となってしまいました。

鴨川の増水

京都では4日朝にかけて雨脚が強まりました。荒神橋の水位では「水防団待機水位」ほどで済みましたが、それでも濁流となって激しく流れる川の姿に、改めて「急流」河川としての鴨川の姿を見せられた気がします。やはり鴨川が溢れた時のことを想像すると恐ろしくなります。動画がありますのでご覧ください。午後には桂川も見てきましたが、こちらは勾配の緩やかな広い河川敷を持つ川です。

鴨川の水害対策は昭和10年の水害を契機として整備されてきました。しかし水害は克服された過去のものではなく、まだまだ対策途上です。2000年の東海豪雨と同レベルの雨が京都で発生(3時間雨量:214mm、24時間雨量:532mm)すれば、広範囲で浸水するという試算が出されています。長年大規模な被害が無いと、人は過去の被害のことは忘れて行き「この地域には過去に被害は無い、大丈夫」と誤解していきます。テレビの被災者インタビューでよく耳にするのは「生まれて初めて」「今まで見たことが無い」という言葉です。確かにそうかもしれません。しかし災害は数十年の個人の経験で計るべきものではなく、もっと長い期間で考えるべきものです。

過去には京都でも数多くの災害がありました。京都は平安以来の文献の蓄積からの災害記録と、発掘調査によるその証明がある、全国でも類を見ない都市です。その地に住んでいるならば「想定外」とは安易には言えないでしょう。京都旅屋では京都の災害史を学ぶ散策も実施していきます。まずは過去にどんなことがあったのか知ることから、自身や家族・地域の防災を考えるきっかけとなっていただければと考えています。

ガイドのご紹介
吉村 晋弥(よしむら しんや)

吉村 晋弥気象予報士として9年目。第5回京都検定にて回の最年少で1級に合格。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。特技はお箏の演奏。散策メニューはこちらから

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です