毘沙門堂の紅葉


3日は、山科の毘沙門堂へと行ってきました。JR東海「そうだ京都、行こう。」の今年の盛秋のキャンペーンで紹介されている、散り紅葉の参道が印象的なお寺です。

「そうだ京都、行こう。」のキャンペーン画像はこちらをご覧下さい。散り紅葉の景色を見るには、雨上がりや雨の翌日がおススメです。雨で葉が散り、さらに地面にペタリと張り付いて、見栄えがよくなりやすいでしょう。

毘沙門堂は山科の北部山沿いにあり、乗用車が一台通れるだけの狭い道しかありません。そのため大型の観光バスが入ることができず、今回も歩いて上る団体さんを見かけました。中型タクシーで数台に分けて上がることもあるようです。山科駅からも徒歩で行くことができます。境内の紅葉はすでに見ごろ。3日の時点で散り紅葉も美しくなっており、まさにJR東海のポスターに近い光景を見ることができました。しかし、実際にはこの参道は人が多く歩いており、人の写り込まない写真を撮るならば朝早くでないと難しいでしょう。

「そうだ京都、行こう。」の参道は勅使門へと続いていますが、本堂正面へは別の階段があります。こちらはかなり急ですので、勅使門の参道側へと回り込むのも負担が小さいと思います。ただ、濡れ紅葉は大変滑りやすいのでご注意ください。

ご本尊の毘沙門天像は、最澄が延暦寺の仏を掘った余材で作られたという約7cm(2寸2分)の小さなもの。普段はお厨子に入っており直接は見られませんが、御前立(おまえだち)がいらっしゃいます。御前立はご本尊の代わりに、ご本尊を模した仏様を安置しているもの。毘沙門堂の御前立は2008年に盗難にあい、その後、犯人が捕まって戻ってきた経緯があります。本当によかったですね。

毘沙門堂の拝観区域での見どころは、逆遠近法という手法で描かれた宸殿の襖絵。江戸時代の狩野益信による筆ですが、なんと絵が動く「だまし絵」となっています。ただ、説明がないと普通の絵ですので、是非お寺の方やガイドの解説をお聞きになって下さい。なお、この逆遠近法で書かれた絵は、京都では泉涌寺や西本願寺(通常非公開)などでも見ることができ、曼殊院にも動く襖絵があります。また、「とりあわない部屋」もテレビなどで紹介されることがあります。この部屋の襖絵は、通常は竹に雀のところが竹にヒヨドリ、梅に鶯のところ梅に山鳥と、鳥の絵が合っていません。客人にお茶を出すときにさりげなく目線をふすまに移し、「取り合わない」ことを伝えたとされています。

紅葉の見どころは、参道の他にも晩翠園の観音堂周辺があります。こちらは室内から襖を額縁に見立てて眺めるのが、素晴らしい場所です。また、弁天堂周辺はドウダンツツジが楓より少し早く真っ赤に色づきます。紅葉シーズンより早めに訪れてみても、意外な美しい光景で迎えてくれることでしょう。春には桜も美しく、観光バスが入れない分、他の有名寺院よりは人も少なめ。門跡寺院としての格式も高い、おススメのお寺です。

また、紅葉シーズンに毘沙門堂まで来られたら、必ず訪れて頂きたいのが、山科聖天として知られる双林院です。こちらの紅葉も抜群に美しく、見ないのはもったいない!!この日も毘沙門堂は賑わっていましたが、近くの双林院まで足を延ばす方はほとんど見かけませんでした。是非是非、訪れてみて下さい。

ガイドのご紹介
吉村 晋弥(よしむら しんや)

吉村 晋弥気象予報士として10年目。第5回京都検定にて回の最年少で1級に合格。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。特技はお箏の演奏。

より大きな地図で 毘沙門堂と双林院 を表示

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