天龍寺の早朝拝観 紅葉も終盤へ


4日は、この日が最終日だった天龍寺早朝拝観へと行ってきました。

嵐山と天龍寺 早朝の輝き

一帯に到着すると、まず何よりも嵐山の美しさに感動します。やはり東に開けた嵐山の山並みは、朝日を浴びる早朝が最も美しいかもしれません。渡月橋にはバスや車はおらず、非常に美しい写真も撮ることが出来ます。この日も、7時過ぎには既に大勢のカメラマンが三脚を構えて撮っておられました。先週は晴れの少ない日が多く、かつ天気予報も外れがちでしたので、待ち焦がれた晴れだったことでしょう。次に同様な光景が見られそうなのは7日の早朝です。

さて、天龍寺の早朝拝観は午前7時半から。よく知られているようで、それなりの人はいます。しかし「早起きは三文の得」。お昼間より人は少なく、何より朝日を浴びる庭園と紅葉の輝きは、他の時間帯とは比較のできない魅力にあふれています。

余談ですが、嵐山・嵯峨野一帯は東に開けた山を背にしているため、逆光に輝く紅葉を狙うならば午前中が断然おススメ。もちろんその日の天気にもより、北西の風の冬型の時は東山よりも嵐山の方がやや「時雨れ(しぐれ)」易いので、読みもやや複雑になってきます。雨が降ったり止んだり晴れ間も出たりと時雨れると、紅葉が輝かないため嫌われる方もいますが、一方では虹が出やすくなるため、時には大変美しい光景にも出会えることでしょう。写真は今日(5日)の広沢池。見事な虹でした。

天龍寺の紅葉は前回訪れた30日からわずか4日間でずいぶんと変化しました。30日には素晴らしい輝きを見せていた木はほぼ散り、また別な木が輝いています。紅葉は木々が葉を落とそうとする過程のため、雨が降り風が吹くと、その力で僅かの間に葉が落ちてしまうこともあるようです。対岸の千光寺の銀杏は3日夜の強い風で、一晩で全て散ってしまったそう。自然の風景はまさに一期一会。「明日また」などと思っていたら、一晩で「また来年」ということもよくある話。何か人生にも共通する教訓めいたものを感じます。

早朝拝観は7時半からですが、それはお庭のみ。この時点ではまだ本堂に上がることができません。本堂の拝観は公式には8時半から。しかし、この日は8時には解禁されていました。本堂に人が上がっているのを見て、私もすかさず入口へと戻って拝観受付を済ませて上がってみると、なんとまだ誰もいない書院から額縁のような景色を堪能することが出来ました。これは昼間ではまず考えられないことでしょう。紅葉の最盛期であれば、さぞ優雅に違いありません。ただ、その優雅さはせいぜい5分ほどで、やはり他の人も次第に増えていきます。そしてこの日は日曜日ということもあってか、午前9時頃には駐車場はすでに満車となっていました。さすが天龍寺です。

紅葉も終盤へ

本日(5日)も嵐山・嵯峨野の紅葉を見てきましたが、全体的には落葉(らくよう)が進み、終盤の印象です。テレビなどの紅葉情報では、本日夕方でも「嵐山:見ごろ」となっていますが、決して最盛期ではなく、終盤に近づき散り紅葉も美しい「見ごろ」です。場所によっても差が大きく出ています。二尊院や大河内山荘・愛宕念仏寺では7割方散っており、滝口寺はほとんど散っていました。一方、散り紅葉はどこも大変美しく、祇王寺も散り紅葉が見ごろ。また、化野念仏寺や清凉寺・直指庵・大沢池のように、まだまだ真っ赤な木々が楽しめる場所も、今日の段階では残っています。見頃感に不安を感じる時は、入口で中の様子を聞いてから入られるのが安全かもしれません。

9日からは嵐山花灯路も始まります。嵐山の山全体が照らされるスケールの大きさは圧巻で、輝く渡月橋と嵐山の組み合わせを実際に見れば、筆舌に尽くしがたいほどの感動を味わえる(かもしれない)イベントです。ライトアップされた竹林も、昼とは全く違ったジャンルの美しさへと変化します。紅葉は8日までの雨でまたずいぶんと散ってしまいそうですが、なんとか残ってくれる木もあることでしょう。そして9日からは気温も一段と下がり、京都でも初雪の可能性があります。運がよければ「ライトアップ+紅葉+雪が舞う」という究極の光景に出逢えるかもしれません。お出かけの際は真冬並みの防寒対策を行って、冬の輝きを楽しんで頂ければと思います。

ガイドのご紹介
吉村 晋弥(よしむら しんや)

吉村 晋弥気象予報士として10年目。第5回京都検定にて回の最年少で1級に合格。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。特技はお箏の演奏。

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