大雪(たいせつ)の京都 終盤の紅葉


7日は二十四節気の一つ大雪(たいせつ)です。

大雪(たいせつ)と大雪(おおゆき)

前回の小雪(しょうせつ)と同じく、雪にまつわる節気。暦便覧によると「雪いよいよ降り重ねる折からなれば也」とされています。この節気も、現在の気候からすると実際からは遠い印象が強いものです。京都の初雪の平年日は12月15日。大雪とは行かなくとも初雪はそろそろあってもおかしくない頃。今回も嵐電の二十四節気の紹介動画をご覧ください。動画に出てくる建仁寺の紅葉は今まさに見頃です。

9日からは、今シーズンで最も強い寒気が入ります。最新の予測値では、近畿地方の平野部でも日本海側までは初雪となるところがありそうですが、京都は気温が微妙で、降るなら雪ではなく雨の可能性が高い予報。嵐山花灯路で「ライトアップ+紅葉+雪が舞う」のは厳しそうです。週末の天気では雨の降る時間帯も見込まれ、かつ雪の一歩手前まで冷えて風も強くなりますので、最大限の防寒対策でお出かけ下さい。なお、初雪の判定は「みぞれ」でもOKで、一時的でも雪が混じれば気象台から初雪が発表される可能性はあるでしょう。※8日追記:最新の予報では、京都では雪か雨が五分五分くらいまで可能性が高まっています。

それにしても、今の時期に「大雪」といわれると”ずれ”の感覚が強いのですが、二十四節気は”期間”を表しており、今年は12月7日から12月21日までが「大雪」の期間になります。近年の記録を見ると、2005年の12月22日に10cmの積雪を観測したことがありました。昨年も、年末の31日に9cmのまとまった雪が降りましたし、初雪がそのまましっかりとした積雪につながる年もあります。京都市の平地では、大雪注意報の基準は24時間で5cm。頻度は少ないとはいえ、今でも時にはその片鱗を見せてくれる可能性もありえる節気ですね。

終盤の紅葉と見ごろ情報

今年は紅葉が遅いといわれながらも、晩秋の色づきは足並み早く一気に駆け抜けて行くようです。本日は洛南や宇治へと足をのばしましたが、三室戸寺はほぼ散りはて。興聖寺の琴坂や平等院も盛りは過ぎて終盤です。見ている間にもどんどん散っていました。一方で、京都で紅葉が最も遅いといわれているのが下鴨神社。糺(ただす)の森の高い木々に光を遮られている分、紅葉の進捗がゆっくりで、来週でもまだ見られるでしょう。同じ理由から、伏見稲荷の三つ辻付近の楓や、宇治上神社から源氏物語ミュージアムへと向かう道沿いも、まだ色づきはこれからです。

さて、今年の紅葉シーズンの私は時間が多くありましたので「京都の紅葉を、できるだけ多くまわる」ことを目標にしてきました。結果的には天候にも恵まれ、本日(7日)でほぼ京都中の紅葉・銀杏を見に行くことを達成できました。数は200カ所前後。300までは行かないと思いますが、それだけ京都には見どころが数多くあるということでしょう。中にはまったくの「はずれ」だった場所もあるものの、それも勉強。反対に意外な場所で見事な紅葉に出逢えたり、時には身震いするほどの美しい光景にも遭遇し、感動屋の私は3回ほど感涙してしまいました(笑)私にとっての京都は、まさに大きなテーマパーク。こうしてその中に住めていることを、非常にありがたく感じます。

今シーズン、「できるだけ多くまわること」にこだわった理由はいくつかありますが、その一つに、いつか精度の高い京都の紅葉予測情報を出したいという思いがあります。これは10年計画くらいの話で、今年はその基礎として、とにかく短い期間に数多くの場所を見て進行状況を把握・比較しておくための年にしました。このようなことを毎年続けて行けば、”A寺がこの状況ならB寺はこう”と読めるようになるでしょう。ひと口に「見ごろ」と言っても、その範囲は様々です。私が目指したいのは、より具体的にきめ細かくお伝えすることです。

また、例えば東福寺を例にとっても境内の中で進捗状況は異なっています。通天橋が見頃だったので龍吟庵へ行くとまだ青かったというのはある話。しかし、そこまで細かく情報をくれるサイトは見たことがありません。ならば作ってみたい。しかも現状把握ではなく、この先の色付きを予測して情報を出すのです。出来るだけ最高の時期にその場所へと行って頂けるよう、まずは私自身が数の多くの場所を見て、資料を蓄積することが大切だと考えています。

以上はまだまだ夢の範囲で、ニーズがあるのかも未知数のため先のことはどうなるかはわかりませんが、未来を読む気象予報士のスキルを活かして、いつか実現できる日が来たらいいなぁと思っています。

ガイドのご紹介
吉村 晋弥(よしむら しんや)

吉村 晋弥気象予報士として10年目。第5回京都検定にて回の最年少で1級に合格。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。特技はお箏の演奏。

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