大寒の京都 寒さの底


21日は、一年の中でも最も寒い時期の始まりとされる大寒でした。

前日の20日には北海道の江丹別(えたんべつ)で、-30.3℃の極寒を観測しました。テレビでは水蒸気が木の枝に凍りつく霧氷(むひょう)の美しい映像も流れ、まさに一年で一番寒い時期を感じます。京都では21日は「初弘法」で、東寺では今年初めての弘法市が開かれました。残念ながら、次第に雨が降り出しましたが、比較的暖かい雨だったと思います。昨日からの雨は、実は「春」を告げるもの。予報士は一足先に季節の変わり目を感じていますが、春への変化の始まりを告げるのは、まさに今日のような「雨」。関東でいえば南岸低気圧による「雪」でしょう。一見、春とは何の関係が無いように見えても、天気図の中には確実に春の気配が現れています。

しかし、春はまだ「気配」だけ。来週は「大寒」の時期にふさわしい極寒が再び戻ってきて、雪景色の京都をお届けできる日もありそうです。ただ、北日本など積雪がすでに多くなっている地域ではさらなる豪雪に十分な警戒が必要で、歴年の観測値を更新する場所も出てくることでしょう。雪による「災害」は真綿で首をめられるがごとく影響が長く続くため心配です。

今回も、嵐電の動画をご覧ください。二十四節気は期間を表すものですので、これから立春までの約二週間が、一年で最も寒さの厳しい時期ということになります。暦便覧では「冷ゆることの至りて甚だしきときなればなり」と表現されていて、まさに寒さの底。しかし底が見えているということは、春も遠くないということでしょう。二十四節気は、今の世に合わない、中国から伝わってきたので日本の気候に合わないという意見もよく耳にしますが、そうとも限りません。太陽活動をベースとしている節気は、時を変え場所を変えても十分に通用します。大寒もその一つ。では、本当に一年で最も寒い時期なのかを、具体的に検証してみましょう。

まず、京都の1月から2月の平均気温の平年値をグラフにしてみました。文字で書くよりも、グラフを見て頂ければ一目瞭然。大寒の期間は一年で最も気温が低い時期にぴたりとはまっています。そして、次の節気「立春」のころからは、8月の「立秋」以来、半年間下がり続けていた気温がついに上昇に転じます。「立春」は「春を感じられるようになるころ」です。その言葉にも実際の気温の変化はあてはまっていて、古人(いにしえびと)が考え出した、二十四節気の絶妙さを感じずにはいられません。二十四節気は決して過去の遺産ではなく、農耕に関わっていない多くの現代人にも、季節の移ろいを感じさせてくれるものなのです。

また、京都の「1年間で最も低い気温を観測した日」を、1982年から2011年までの30年間で調べてみました。結果は、大寒の期間に観測されたものが14回と、ほぼ2年に1回の頻度であります。わずか2週間程の大寒という期間に、これだけの頻度で年間の最低気温が観測されるのは、やはりずば抜けていると言えるでしょう。加えていえば、1日違いで大寒の期間に入らなかったものもあり、気象統計的に見てもこの時期は1年で一番寒い時期だと、胸を張って断言することができます。

さて、このように年間で最も寒い期間である「大寒」。今年も例にもれずとなりそうで、20日に発表された近畿地方の1か月予報では、2月3日までの大寒の期間は平年よりも寒い可能性が濃厚です。特に1月28日~2月3日は、低い確率が70%もあります。インフルエンザも流行っているようです。皆様も体調管理には十分にご注意ください。

ガイドのご紹介
吉村 晋弥(よしむら しんや)

吉村 晋弥気象予報士として10年目。第5回京都検定にて回の最年少で1級に合格。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。特技はお箏の演奏。

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