上賀茂神社の蹴鞠奉納


11日は上賀茂神社の紀元祭で蹴鞠が奉納されました。

11日は建国記念日。戦前の紀元節に由来する祝日で、神武天皇が即位をした日とされています。上賀茂神社では武道など日本伝統のスポーツが奉納されました。私が到着した時はちょうど空手が奉納されており、激しい技の応酬や板割りなどを披露して頂けました。板割りはやはり失敗すると手が相当痛むようです。

11時から蹴鞠が奉納されました。以前、下鴨神社の蹴鞠もご紹介しましたが、上賀茂神社の紀元祭の蹴鞠は比較的空いていますので、純粋に蹴鞠をじっくり見たいという方にはおすすめです。特に最後の方は写真も様々な角度で移動しながら撮ることができるほどです。

蹴鞠をするには風が無い方が好ましいため、この日も風がやむのを待つ場面がありました。それでも背丈の倍は蹴り上げる鞠を正確に捉えていく様子には、時折拍手もおこります。傍から見ていても、蹴鞠は難しそうです。「鞠」は鹿皮で作られ、中には空気が入っていますが、パンパンに入っているのではなく少し空気の抜けた感じです。現代の一般的なボールのように高い弾力で弾むことがありませんので、きちんと脚で捉えて蹴り上げないと相手が取りやすい球を打つことは難しいのでしょう。

蹴鞠といえば、中大兄皇子が蹴鞠を催した際に、転がった鞠を中臣鎌足が拾い上げて蘇我氏への不満をささやいたことから二人が親しくなって、後の大化の改新に繋がる話が知られています。個人的には、戦国武将で織田信長に桶狭間で討たれた今川義元の後継者であった、今川氏真(うじざね)を思い出します。昔読んだ本では、蹴鞠に興じて弔い合戦をせず、松平元康(後の徳川家康)の織田への離反を招くことになるほど。私の幼心に「いったい蹴鞠はどれほど面白いのだろう?」と思わせたお話でした。結果的に今川家を没落させる結果を招いた氏真は、後に信長の前で蹴鞠を披露したという逸話もあります。彼の心中はいかばかりだったのか。実際にどれだけ蹴鞠にハマっていたかは定かではないそうですが、今でも蹴鞠を見るたびに私が思いだす人物です。

さて、今回も蹴鞠の様子の動画がありますのでご覧ください。鞠の精の力をかりる、アリ・ヤア・オウの掛け声で見事な足技を披露して頂けました。色彩豊かな服装も見どころです。

ガイドのご紹介
吉村 晋弥(よしむら しんや)

吉村 晋弥気象予報士として10年目。第5回京都検定にて回の最年少で1級に合格。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。特技はお箏の演奏。

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