竜巻の恐ろしさ


今日も竜巻の話。竜巻自体は滅多に出逢うことのない気象現象ですが、いざ巻き込まれてしまうと命や財産に関わる、数ある気象現象の中でも最もシビアなものの一つです。

気象庁によると、つくば市の竜巻はF2(瞬間風速50m/s以上)のスケールで、最大では70m/sを超える凄まじい風が吹いた可能性もあるそうです。風の圧力は、風速が2倍になれば4倍に、3倍になれば9倍に、4倍になれば16倍にと、まさに「加速度的に」強まる性質があます。風速50m/sの風は、台風の暴風域の基準(25m/s)の、なんと4倍もの風圧!70m/sは時速に直せば252km/hと新幹線に匹敵する速さで、圧力は暴風域の基準の7倍から8倍にもなり、本当に想像しがたい、とんでもない風圧です!!

そもそも私たちが「今日は風が強いな」と感じるのは平均風速で5m/s~7m/s(瞬間では10m/s)ほどから。仮に5m/sを基準とすれば、風速50m/sは「今日は風が強い」という感覚の「100倍」、風速70m/sは「およそ200倍」もの風圧を持っています。これに加えて、舞いあげられた「モノ」もすごい勢いで飛んできますので、竜巻がいかに危険で恐ろしいかは、十分お分かり頂けるでしょう。次回、竜巻の危険があるのは水曜日から。竜巻そのものの予測は難しく、滅多に遭遇しないものではありますが、もし見かけたら、すぐに頑丈な建物に避難をお願いします。竜巻はシビアな現象ですが、規模は比較的小さく、寿命も短いものです。その数分を逃げ抜いて下さい。

今回は「スーパーセル」という言葉も聞かれます。これは積乱雲の一種で、そもそも積乱雲は強い上昇気流を持ち、激しい雨や雹、突風や雷をもたらす雲です。スーパーセルは一般的な積乱雲よりもさらに規模が大きく、上昇気流と下降気流を併せ持って、小さな低気圧のようにゆっくりと回転をするのが特徴。フィギュアスケートでも手を広げてスピンをするとゆっくり回転しますが、手をすぼめて小さくなると回転スピードが上がります。実は、スーパーセルが持つ回転力が、強い上昇気流によって小さくすぼめられることで、竜巻の強力な風と回転力が生まれると考えられています。

また「大気が不安定」という言葉も、やや分かりにくい用語かもしれません。止まっていた物を動かして、元いた場所に戻ったり動きが止まれば、それは「安定」。一方で、動いたまま止まらずに進み続けると、それは「不安定」です。大気に当てはめれば、日差しなどで温められた地上付近の空気が軽くなって上昇する動きが、途中で止まれば安定。止まらずに上昇し続ければ不安定となります。雲は上昇気流によって発生し、中でも激しい上量気流によって生まれるのが積乱雲、すなわち雷雲です。「大気が不安定」という時は、特に気温が上がる午後から夕方に雷雲が発生しやすくなります。

竜巻は、地面との摩擦が少ない沿岸部や平野部など、開けた場所の方が規模が大きくなりやすいものの、全国どこでも起こりえます。京都でも、鴨長明の「方丈記」に竜巻と思われる記録があり、他人ごととは言い切れません。1180年・治承4年に発生した「辻風」は、「治承の竜巻」とも呼ばれ、家財道具や屋根があたかも冬の木の葉のように宙に舞い、通った後には潰れたり柱だけになった家が残されたとのこと。今の京都はビルも立っていますので当時のような被害にはならないと思いますが、恐ろしい記載内容です。余談ですが、方丈記には大地震や火災・大飢饉といった災害の様子が克明に記録されています。源平の時代とも重なり、一時的ながら都が京都から移された福原遷都も経験した時期。仏法が衰える末法の世にも入り、災害の多発、世情の不安定、人々の不安な気持ちは察するに余りあります。

以下、昨日のブログと同じ内容ですが、あえて今一度記載いたします。竜巻の移動速度は思っている以上に速く、見かけたらすぐに頑丈な建物に避難すること、ガラスなどからは離れることが肝要です。カメラで撮影したり、物見な気分でいると、あっという間に向ってくることもあるので、くどいようですが竜巻を見かけたら「すぐに!」退避行動をとって下さい。.

竜巻を直接的に予想するのは非常に難しいものの、竜巻注意情報として気象台から1時間ほど前には注意喚起が行われることがあります。竜巻は発達した積乱雲に伴って発生する激しい渦巻。真っ黒い雲が近づいてきたり、雷が鳴ったり、雹が降ってきたり、強い雨が降ったり、風が吹きだしたりしたら、警戒をして下さい。ろうと状の雲が積乱雲から垂れ下がっていると、それは竜巻の可能性があります。頑丈な建物に避難をし、カーテンは閉め、窓ガラスから離れて下さい。木造家屋では2階よりも1階のほうがまだ安全。屋外では、プレハブや小屋などの簡易な建物では一瞬で倒壊しかねず、木の下では木そのものが倒れる危険もあるため、とにかく頑丈な建物を探して下さい。

ガイドのご紹介
吉村 晋弥(よしむら しんや)

吉村 晋弥気象予報士として10年目。第5回京都検定にて回の最年少で1級に合格。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。特技はお箏の演奏。

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