3か月予報 2012年6月~8月


気象庁から3か月予報が発表されました。今回は夏の6月~8月の期間で、節電でも絡んで注目度の高い予報です。

近畿地方の気温予想は、6月が平年並、7月がやや高温傾向、8月は平年並・高いがともに40%と、「低い」になる確率が20%しかありません。総じて真夏の時期は「高温」という予想です。関西地方は電力が足りない見解が出ており、大いに厳しい予報。いよいよ本気で暑い夏への覚悟もしておいたほうがよいかもしれません。ただ、予報は不確定要素もはらんでおり、例えばエルニーニョ現象が発生する恐れもあります。2008年までの過去30年間の統計では、エルニーニョが発生した年の夏(6月~8月)に、西日本の気温が「高く」なった年は一度もありません。つまり、今後エルニーニョが発生するか否かの見極めが、この夏の大きなポイントといえるでしょう。現時点では、夏までにエルニーニョは発生せず「高温」傾向というのが気象庁の見解です。3か月予報は1か月に一度、次回は6月25日、エルニーニョ監視速報は6月11日の発表です。

エルニーニョとは、太平洋赤道域の日付変更線付近から南米のペルー沿岸にかけての広い海域で海面水温が平年に比べて高くなり、その状態が1年程度続く現象です。大気と海とは地球規模で密接に影響を及ぼしあっていて、エルニーニョが起こると赤道付近の東風が弱まり、通常インドネシア近海に溜まっている暖かい海水が吹き寄せられずに東方向に拡散されます。そのため、暖かい海水から生まれる積乱雲が活発に発生する区域も、より東に移ることになります。積乱雲が上空へ吹きあげた空気が下降する場所には高気圧が生まれ、これが太平洋高気圧になりますが、活発な積乱雲の発生域がエルニーニョによって東へずれてしまうと、その分、日本付近への太平洋高気圧の張り出しも弱まって高温にはなりにくいという傾向にあります。ただ、根本的になぜエルニーニョが起こるのかということについては、大気と海との複雑な要因が重なり合っているため、十分に解明されていません。

一方でエルニーニョの反対がラニーニャ。赤道付近の東風が強まることで例年以上にインドネシア付近で積乱雲が発達しやすくなって、上空へ昇った空気が下降する場所にできる太平洋高気圧も当然に強まり、日本付近は猛暑になる恐れがあります(冷夏になる年もあるが、特に残暑が厳しい傾向)。このラニーニャが発生していたのが2010年で、この年は記録的な猛暑となりました。今年はラニーニャは予想されず、海水温は平年並かむしろ低いエルニーニョの可能性もあるため、気温が「高い」傾向が予想されてはいますが、2010年並みの猛暑とはならないと考えられます。

さて、真夏の前には梅雨があります。日本は四季だと一般には言われますが「梅雨」も春夏秋冬に並ぶ1つの季節で、日本は「五季」だと、私が以前勤めていた民間気象会社の創業者が熱く語っていたことを思い出します。梅雨は明確な「雨季」で、その意味では確かに季節であり、しかも「入り」と「明け」が宣言される唯一の季節といえます。冬入り、春明けなどは聞きませんし、それだけ日本人が梅雨を意識しているということなのでしょう。

過去の統計では京都を含む近畿地方の梅雨入りの最速は5月22日。実はこの記録は2011年に観測されていて、昨年の今頃はもう「梅雨」だったわけです。しかし最初の梅雨入り宣言は5月26日に行われており、「5月22日から梅雨」というのは後から修正されたものです。なんともややこしい話。つまるところ、梅雨入り梅雨明けの線引きは人為的に無理やり行っているもので、季節の境目をはっきりと見極めることがいかに難しいかを象徴的に表しているでしょう。今年の梅雨明け宣言はいつか??今のところ、5月中はなさそうです。

ガイドのご紹介
吉村 晋弥(よしむら しんや)

吉村 晋弥気象予報士として10年目。第5回京都検定にて回の最年少で1級に合格。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。特技はお箏の演奏。

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