祇園祭の神事・行事。5日は長刀鉾町で稚児舞の披露が行われました。
突然ですが、ここでお知らせです。祇園祭には各32基の山鉾があり、それぞれに厄除けとは別のご利益がプラスされています。14日の宵山のころから各町内でご朱印を集めることができ(1か所100円ほど必要)、そのご朱印帳が各所で販売されていますが、株式会社フィールドさんが企画された可愛らしい「乙女のご朱印帖」の中に、京都旅屋の写真を少し提供させていただきました。よろしければ手に取ってみて下さい。ご朱印帖は3冊あり、1冊500円。3冊セットで1200円とのこと。山鉾のご朱印集めは私も何回か行ったことがありますが、宵山の夜は一方通行の道も出てきて、回り順を考えるのもひと工夫が必要になったり、夜は21時までで受付を終了する山鉾町もあるので駆け込んだりと、意外な苦労も伴います。しかしその分、達成感は抜群(笑) つわものクラスになると、+3基の休み山のご朱印も漏らさず集めていきます。全てのご朱印帳に休み山のスペースを是非設けて頂いて、光を当てることで復興への背中を押す形になればと、個人的には思っています。
祇園祭は「7月の1ヶ月間行われるお祭り」として知られますが、実際には毎日屋台が出て賑わしくしているわけでも、毎日神事や行事が目白押しというわけでもありません。非公開の神事や、粽作りなどのように地元の町内が主体となって行うものもあります。17日の山鉾巡行に向けた1週間は確かに毎日のように行事が続きますが、それ以外は見られるものの日時をしっかりとガイドブックで確認をしてから向かわれるとよいでしょう。
1日に八坂神社でのお千度の儀が行われた長刀鉾町。5日は吉符入りの日で、正式にお稚児さんが紹介され、町会所の2階からは稚児舞の披露が行われました。お稚児さんが舞うのは「太平の舞」で、13日の長刀鉾の曳き初めや、17日の山鉾巡行時には動く鉾の上から披露されます。動く鉾は結構揺れますので、まだ揺れない町会所で行うのは実践的な練習の意味もあるのかもしれませんね。ちなみにお稚児さんは、長刀鉾町に養子縁組をして、まさに「鉾町の子」となります。相応の資金が必要で、しきたりもあるため、お稚児さん探しは毎年苦労をされているそうです。
舞は町役の方のチェックの後に披露されます。頭にはクジャクの羽根を飾った冠をつけ、萌黄色の肩衣も美しい。舞の時間帯にはちょうど雨も止み、四条通には多くの方が集まりました。舞の様子を下から見守るのはお稚児さんや禿(かむろ)のお母さんたち。会所の上ではお稚児さんの後ろに、お父さんやお爺さんが立つのがならわしです。優しく見守るご家族の姿を見て、お稚児さんもはりきって臨めたのではないでしょうか。
13日はお位もらいの儀で、お稚児さんは長刀鉾町から馬にまたがって八坂神社へと向かい、正五位少将の位を授かります。鉾は高く、お稚児さんはそこから武家や公家の方々を見下ろすことになるため、10万石の大名と同じともいわれる高い位を授かるのです。お位もらいの儀の後は地面に足を着くことは許されず、食事も母親が作ったものは口にすることができなくなります。幼いながらもなかなか厳しいしきたりが今でも受け継がれているのです。さて、稚児舞の様子は動画もあります。今回は報道陣に交じって正面で撮影することができました。よろしければご覧ください。
ガイドのご紹介
吉村 晋弥(よしむら しんや)
気象予報士として10年目。第5回京都検定にて回の最年少で1級に合格。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。特技はお箏の演奏。