12日の宵山 祇園祭 2012年


祇園祭はいよいよ鉾が完成し出し、今日12日は曳き初めも行われました。夜には知る人ぞ知る「12日の宵山」が始まり、一部鉾では駒形提灯にコンチキチンの祇園囃子、粽を売る光景も。早速、函谷(かんこ)鉾と菊水鉾に搭乗し、お囃子中の鉾の上でじっくりと聞くことができました。

今朝は起きて一番に青ざめました。熊本や大分では豪雨によって甚大な被害が出てしまいました。気象予報士は雨量の数字を見て、その場で何が起きているか推し量ることができます。レーダーの血糊のようなエコーや、アメダス雨量の四ケタの数字は、その場所で命の危険にさらされている人がいることを私に強く訴えかけてきます。雨の下にいる人はどれほどの恐怖を感じているか、どれくらいの被害が起きているか・・・。亡くなっているの方のほとんどはお年寄りで、災害はこのように「弱者」がはっきりすることがあります。ただただ、ご冥福をお祈り申し上げます。

気象予報士の役割は天気予報を当てることが第一ですが、現実には今回のような豪雨は予測できないことの方が多い。ならばいったい何ができるのか。「知識の伝達」もその一つだと思っています。京都旅屋でいつか開きたいのは、実用的な天気予報活用法の講座。3時間で280mmが降れば何が起こるのか?具体的に数字から起こることの解説や、天気予報の性質、予報のブレの見極め方など、気象予報士のノウハウをわかりやすく解説をして、日常生活やいざという時に活かしてもらえるようなお話をできたらと思います。虹や環天頂アークの見つけ方など、楽しい話もしていきたいですね。

話を祇園祭に変えます。12日は鉾の曳き初めが行われました。曳き初めでは一般観光客も綱を持って鉾を引くことができます。綱を触ると一年分の厄除けのご利益があると言われ、実際に鉾の重さを肌で感じることができる唯一の機会。テンションが上がることは間違いなしですが、多くの地元の小学生らも参加されていますので、あくまで「地元の方優先」であってほしいと思います。また、きちんと町内の方の指示に従うことが大切です。綱をまたいだり、車輪に不用意に近づかない。写真や動画を撮る時は周りに気を配る、綱を引くときはそれだけに集中して写真は撮らない、などなどです。もし怪我や事故が起きてしまうと「ちまき投げ」が中止になった時のように、曳き初めも中止になってしまいかねませんので。ただ、きちんと節度を守れば参加してもなんら問題のないものだと私は考えています。13日は新町通の山鉾での曳き初めが行われます。曳いてみると、新町通は平たんではなく「坂」であることがよくわかるでしょう。行きと帰りでは重さが全然違いますよ。

12日夜からは「宵山」が始まりました。宵山は16日で、15日が宵々山、14日が宵々々山といった言い方もありますが、○日の宵山というのが伝統的であるようです(12日だと宵々々々々山になりますね。分かりにくいです)。さて「12日の宵山」は知る人ぞ知る宵山でしょう。函谷鉾や菊水鉾を中心に行われますが、訪れる人は少なく、圧倒的に空いているのが特徴。すごいのが、お囃子中の鉾に上がり、じっくりと大音量でその音色を堪能できることです。菊水鉾は撮影禁止でしたが、函谷鉾は撮影OKでしたので、動画も撮ってきました。滅多に見られない鉾の上での生演奏の見物。13日もまだ空いてはいますが、確実に人は増えてくるためゆっくりと鉾の上で見られない可能性があります。14日以降は大賑わいとなりますので、ゆっくり眺めるのは難しいでしょう。その意味では「12日の宵山」は、祇園祭をより身近に感じることができる大切な機会。私は毎年楽しみにしています。

さて、いよいよ今年も祇園祭が本格的に始まりました。宵山は12日から16日まで都合5日間もあります。混雑を避けたい方は明日のうちにお越しください。12日よりも「宵山」の山鉾の数が増えて、お祭りの雰囲気も高まってきますよ。月鉾では13日と14日は浴衣や着物着用の方は無料で鉾に搭乗できます!

ガイドのご紹介
吉村 晋弥(よしむら しんや)

吉村 晋弥気象予報士として10年目。第5回京都検定にて回の最年少で1級に合格。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。特技はお箏の演奏。

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