まだ身近にある災害の危険


宇治や城陽など京都府南部で大変な大雨が降ってしまいました。今回の豪雨は早朝であったため、朝から大変な目にあわれた方もおられたことと思います。豪雨災害は未明から早朝に多いとされ、今回もそのセオリー通りとなりました。

昨日のブログを書きながら、宇治方面の動きの少ないレーダーエコーが気にかかっていましたが、今朝になってさらに猛烈な雨が降ってしまいました。集中豪雨は統計的には未明から早朝に多いとされ、古(いにしえ)からの諺には「朝雷に川越すな」というものもあります。すなわち、朝の雷は大雨となる可能性が高く、見る間に川が増水したり、川が溢れるほどの増水で帰れなく危険があるために川を越すなというのです。それだけ朝に大雨のリスクが高いことは感覚的にも知られていたのでしょう。

未明から早朝に豪雨が増える詳細なメカニズムは解明されていませんが、海の近くであれば海と陸との比熱の差が考えられます。また、夕立は夜になれば衰えますが、今回のように高気圧の縁を回る湿って空気が供給されている時は、夜になっても豪雨をもたらす積乱雲は衰えません。むしろ夜には積乱雲の雲の頂上が冷えて不安定さが増し、積乱雲が活発化しやすくなるとも考えられています(未明から早朝ほど大雨になりやすいことの理由の一つか)。今回は日本海からの前線の南下に加え、大阪平野から流れ込む熱帯並みに湿った空気が宇治や大津の山地での強制的に上昇し、同じような場所で雨雲を生み続けていたと考えられます。昼間の大雨ならばまだ明るくて避難のしようもありますが、夜の大雨はまさに寝込みを襲われることも多く、避難が難しいのも特徴です。

水害や土砂災害はまだまだ完全に克服されているものではなく、京都市街地でも同様な浸水被害に見舞われる可能性が十分にあります。鴨川が溢れる日も今後来るかもしれません。できるだけ具体的にその日をイメージすることが重要です。例えば、織田信長の時代には洪水により五条油小路(三条油小路説もあり)まで船が着いた記録があります。このように京都水没も過去には起きていて、今でも防災マップの想定では、東海豪雨規模の雨で鴨川などが溢れると、中京区以南はほぼ全て水没する見込みです(上京区・北区でも広範囲が浸水)。五条まで船が来ることは、現代でもあり得ない話ではないのです。

水は低いところに流れますので、自分が住んでいる場所の土地の高さを知り、辺りより低い時は要注意。大切なものはできるだけ高い場所に置いて下さい。懐中電燈はあるか、眼鏡や靴は近くにあるか、避難場所はどこかなどなど、夜の避難には思わぬ落とし穴があります。防災マップを見ながらシュミレーションをしておくと、いざという時に役立つでしょう。

浸水を防ぐには土のうが適していますが、常備しているところは少ないと思います。そんな場合は水を入れたビニール袋やゴミ袋を用意して、段ボールに入れて下さい。これでいくらか浸水が防げるようです。破れないために袋を二重にするとなおよいでしょう。床上以上での浸水被害でも命の危険さらされることは稀ですが、財産的な損害は莫大な額となります。少しでも時間を稼いで、助かるものを増やせるとよいでしょう。日ごろの準備と学習で「想定外」を減らすことが出来ます。京都旅屋でも秋には現地を歩いて京都の災害史を学ぶ散策を実施予定です。私も一人の気象予報士として、できることをしていかなければなりません。

ガイドのご紹介
吉村 晋弥(よしむら しんや)

吉村 晋弥気象予報士として10年目。第5回京都検定にて回の最年少で1級に合格。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。特技はお箏の演奏。

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