清水寺 千日詣り


清水寺では本日16日まで千日詣りが行われています。千日分のご利益を授かれるだけでなく、内々陣の拝観もでき、風神・雷神像や二十八部衆などの見事な仏像を見ることが出来ます。

千日詣りは8月9日~16日の間に行われ、観音菩薩の功徳日(大きなご利益が得られる日)として、この期間に参拝すると一日で千日分のご利益が得られるとされます。清水寺が公式に書いているものは見つけられませんでしたが、観音菩薩の功徳日には四万六千日(しまんろくせんにち)として46000日分(すなわち一生分)のご利益が得られる旧暦7月10日があり、これが現在の8月の千日詣りの風習につながっているかもしれません。清水寺では期間中、内々陣の拝観もでき、風神・雷神像や二十八部衆などの見事な仏像を見ることが出来ます。

特にお勧めなのは、「宵まいり」とも呼ばれる夜間拝観。本堂内で薄明かりや蝋燭に照らされた仏様は雰囲気があります。風神・雷神や二十八部衆の像といえば、京都では三十三間堂が知られています。二十八部衆は千手観音の眷属(従者・配下)で、三十三間堂や清水寺など千手観音を本尊とするお寺で見ることが出来ます。もとはインド神話の神々で、有名なところでは四天王・梵天・帝釈天・阿修羅があります(八部衆とも重複)。両脇を固める風神・雷神像は清水寺では他の仏像より少し高い場所に置かれていますので、見逃さないよう端をよく見上げて下さい。なかなか厳しいお顔をされています。他の二十八部衆は全体的に穏やかな表情なのが印象的です。

清水寺のご本尊は十一面千手観音で、清水型と呼ばれます。その所以は、左右の手を頭上に掲げ化仏(けぶつ)を戴いている部分です。このお姿は三十三間堂などでおなじみの42本の手を持つ一般的な千手観音像に、さらに格別の力が加わっている様子を表現したものとされ、平安時代から庶民・貴族を問わず厚い信仰を集めてきました。観音様のご利益は現世利益で、33の姿に変化をしながら私たちを救い、1本の手に25の観音の力が宿る(あるいは25の世界を救う)ところから、合わせて「千」の力(手)を持つとされます。そこに自らの2本の手が加わって、様相としては手の数は42本となります。ご本尊は秘仏で、33の姿にちなんで33年に一度、御開帳されます。私も2000年の御開帳の時には「これはいかねば」と、訪れました。次回は2033年とまだまだ先ですが、厨子の前に立つ御前立(おまえだち)からもそのお姿を偲ぶことが出来ます。

さて、仏像もさることながら境内も見どころが多くあります。今ならではと言えば、成就院の特別公開があり(日中のみ)、田村堂には南部鉄器の風鈴が下げられ、涼やかな音色が響いています。それに負けじと蝉の合唱は暑さを伝え、夜のライトアップには昼夜を忘れて声を響かせています。また、参拝順路出口付近の池には百日紅(サルスベリ)の花が見事に咲いています。穏やかに池に映りこみ、三重塔との眺めも絵になります。四季折々に美しいのが京都。同じ場所でも足を運ぶたびに新しい発見が待っていてくれることでしょう。

ガイドのご紹介
吉村 晋弥(よしむら しんや)

吉村 晋弥気象予報士として10年目。第5回京都検定にて回の最年少で1級に合格。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。特技はお箏の演奏。

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