街を彩るサルスベリの花


まだまだ暑い日が続く京都。そんな京都の街をあちらこちらでサルスベリ(百日紅)の花が彩っています。

8月も20日を迎えようとしています。立秋を過ぎ、五山の送り火も終わり、今週末は地蔵盆が行われたところが多くありました。昨年のブログで京都の地蔵盆をご紹介しましたが、地蔵菩薩は子どもを守る仏様として信仰を集め、地蔵盆も子どもが主役の行事です。京都ではまさに一つ一つの町内ごとに独自のイベントが企画され、地元の方々の貴重な交流の場ともなっています。昨年は奇跡的に「ふごおろし(畚おろし)」の場面に遭遇することもできました。この動画や写真の場所を聞かれることもありますが、お伝えすることは控えています。なぜなら、地蔵盆はその町内のための行事であり、観光的な行事ではないためです(昨年も私以外に部外者はいませんでした。)。どうかご容赦ください。

さて、あれほどうるさかった御池通のクマゼミの大合唱も静かになり、納涼床は本床から「後涼み」に変わり、先日実家に帰った際にはコオロギの鳴き声も耳にして、次々に秋の気配を感じるようになりました。しかしまだまだ気温は高く、夏らしい空に夕立も起こっています。そんな夏の花にはサルスベリ(百日紅)があり、緑の多い夏に彩りを加える花として、京都各地で見事な花を眺めることが出来ます。

京都では街路樹によく使われていて、京都市役所前や鴨川沿い、北山通などで見られ、豊国神社前から七条通にかけての大和大路通に咲くサルスベリは非常に見事です。有名な場所では京都御苑の拾翠亭一帯があります。九条池に咲く見事な花は雅な風情を与えています。また、泉涌寺や銀閣寺の観音殿の横に咲く白いサルスベリも見事で、清水寺の拝観出口付近の池にある木は三重塔とも絵になり、街路樹のみならず、市内各地の寺院にも多くのサルスベリを見ることが出来ます。

サルスベリは江戸時代初期に中国から伝わったとされ、その名はツルツルした幹で猿が滑ってしまいそうなところから名付けられています。また、当初から漢字では百日紅と書かれていました。紅色の花が次々と百日間にわたって咲くことからそう表記されています。この木の面白い別名が「こちょこちょの木」。サルスベリは花が枝の先端に付いていて、重心が先に偏っています。そのため幹を「こちょこちょ」とくすぐると、その振動が増幅されて木が揺れ、くすぐったがっているように見えるのです。面白いですね。

夏の花では、他にも桔梗や芙蓉、槿(むくげ)の花があります。芙蓉は、妙蓮寺が有名で、これから咲く酔芙蓉の寺としては山科の大乗寺が知られます。槿もあちこちで見ることが出来、花が旺盛に咲く様子は夏のエネルギーを感じさせてくれますね。桔梗は真夏は花勢が衰えるところもありますが、廬山寺では9月にかけて見頃が続きます。四季折々に愛でられる花があるのも京都の魅力の一つです。

ガイドのご紹介
吉村 晋弥(よしむら しんや)

吉村 晋弥気象予報士として10年目。第5回京都検定にて回の最年少で1級に合格。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。特技はお箏の演奏。

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