小督局ゆかりの清閑寺


先日、清閑寺へと足を運びました。小督局ゆかりのお寺として知られます。

清閑寺一帯は紅葉の名所としても名高く、現在は緑が美しく境内を彩っています。また、高倉天皇に愛された小督局(こごうのつぼね)ゆかりのお寺としても知られます。小督局は高倉天皇の中宮・平徳子に仕えた女官で、宮中一の美女としても有名でした。あるとき高倉天皇が恋した女性が亡くなり、傷心に沈んでいるのを見かねて、徳子は小督局を天皇にさしだします。小督局はすぐに天皇に愛されますが、清盛からすれば自らの娘である徳子との間の皇子の誕生を願っていたためにその怒りを恐れ、小督局は嵯峨野に隠棲することになります(小督局には清盛の娘婿・藤原隆房という恋人がいたことも理由といわれる)。

しかし小督局を忘れられない高倉天皇は、嵯峨野に小督局を探させ、使者は聞こえてきた箏の音色で見事に居場所を付きとめるというロマンチックな話も残されています。こうしてよりを戻した天皇と小督局。やがて二人の間に皇女が誕生するものの、ついには清盛の逆鱗に触れて小督局は出家させられてしまうのです。失意の高倉天皇は2年後に亡くなり、小督局はその菩提を弔って余生を過ごしたといわれます。天皇は遺言で「私が亡くなったら小督のいる清閑寺に葬ってくれ」と言ったとされ、その通り清閑寺の脇には高倉天皇陵があり、さらにその中には小督局の墓とされる塔も残されています。

清閑寺は小督局が出家し、余生を過ごした寺。境内からはちょうど扇の要(かなめ)のように景色が見える要石があり、独特の京都の眺めを楽しむことができます。この要石に願いごとをすると叶うといわれており「願いあらば 歩みを運べ 清閑寺 庭に誓いの 要石あり」の歌も残されています。

今年の大河ドラマで小督局が登場するかはわかりませんが、清盛の横暴さを語る上では、祇王とともによく出てくる話ではあります。清閑寺の境内には小督局の供養塔が残されており、平家物語を偲ぶ方が静かに訪れる境内となっています。

ガイドのご紹介
吉村 晋弥(よしむら しんや)

吉村 晋弥気象予報士として10年目。第5回京都検定にて回の最年少で1級に合格。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。特技はお箏の演奏。

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