知る人ぞ知る名水 「杉坂の船水」


京都に名水は数あれど、杉坂の船水はなかなか口に出来ない名水です。

その名水が湧く場所は、鷹峯からさらに険しい山道を進み、京見峠から杉坂の集落へと向かう道の途中にあります。昔よりおいしい水を求めて訪れる人が絶えない湧き水で、大きなタンクをいくつも持ってわざわざ汲みに来る人もいて、土日には車の列で賑わいます。実際に私の数度通った経験では、毎回必ず水を汲んでおられる方がいらっしゃいます。

この水について調べてみましたが、名前以外の詳しい情報は分かりませんでした。ただ、知る人ぞ知る、人気のある名水であることは確かです。京都三名水の一つ、染井(そめのい)もおいしいですが、ここまで大量に組みに来る方はほとんど見かけません。場所が険しいからかもしれませんが、人を虜にする美味しい水であることは確かです。私も冷たいその水を頂き、確かに美味だと感じました。一方で、水質検査等の情報もありませんので、飲用は自己責任で、できれば煮沸するなどしてから使われる方が安全でしょう。

余談ですが、この京見峠のルートは本格的な自転車で登ってくる方の多い道です。競輪選手かその予備軍か、はたまた学生さんかは分かりませんが、私のシティサイクルでは到底かなわないスピードで坂道をぐんぐん進んでいきます。京見峠は京都市街地に近いものの、標高は446mを数える市内有数の険しい峠ですので、トレーニングには適しているのでしょう。時にはこの水は彼らの喉も潤してくれているのかもしれませんね。ちなみに京見峠、残念ながら現在は木が生い茂って京都を見ることはできません。かつては若狭国や丹波方面とを結ぶ交通の要所で、はるばるやってきた人たちがこの峠で京都を眺めたことから京見峠と呼ばれています。

ガイドのご紹介
吉村 晋弥(よしむら しんや)

吉村 晋弥気象予報士として10年目。第5回京都検定にて回の最年少で1級に合格。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。特技はお箏の演奏。

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