冬にもおススメな清水寺

寒い冬はお出かけも億劫ですが、それでも清水寺は人を集めます。今回は、冬の清水寺で、他の季節にはない魅力をご紹介します。

清水寺は年間に500万人が訪れます。京都の年間観光客数がおよそ5000万人ですので、その10分の1がたった一つのお寺に集中しているわけです。京都には数百の拝観社寺がありながら、なぜにここまでの人を集めるのか。圧倒的な知名度を持ち、舞台は特徴的で眺めも素晴らしく、桜や紅葉の名所でもあり、観音様のご利益はあらゆる願いを満たし、辺りにはおみやげ物屋さんやオシャレなお店も立ち並び、人も多くて活気があり、修学旅行などで若き日に友人たちと訪れた思い出も心に刻まれて、後々に引きつけられているのかもしれません。

京都で最も観光客が少なくなるのは真冬です。現実はともかく、京都は寒さが厳しいイメージも強いため敬遠されがちです。だからこそ冬は、人の多い清水界隈でも比較的ゆっくりじっくりと楽しめる時期ともいえるのです。ということで、冬の清水寺の魅力の一つは人の少なさ。学生も、特に小学生と高校生は冬の間はほぼゼロといっても過言ではなく、中学生もごくわずか。修学旅行生は時期によって層が非常に偏るのが特徴ですが、冬の清水は特に静かです。音羽の滝の待ち時間も短く、舞台からもゆったりと景色を楽しめます。

そして清水寺の境内は落葉樹が多く、冬の時期は木々が葉を落とすのも特徴。つまり境内がよく見えるのも魅力の一つです。具体的には、舞台を下から見上げると、その木組みの様子がよくわかります。葉のある時期は結構隠れますので、きちんと地獄組とも呼ばれる舞台の構造を観察したい方にはおススメ。私の好みは冒頭の写真に載せた、音羽の滝付近からの舞台。滝の待ち時間に見上げると、その雄大さが際立ちます。一方、子安の塔付近からの諸堂の眺めも、冬の時期が一年で最もすっきりと見ることができます。最近、樹木の枝が切られたようですので、今年の冬は例年以上に綺麗に舞台が望めています。なお、清水寺は「平成の大修理」を行っていて、いよいよ本堂も修理にかかるようです。来年の今頃は、この舞台の骨組みも見えなくなっているかもしれません。

その子安の塔は、修理が終盤に近付いて、色が塗りなおされた美しい姿が現れています。今回の解体修理で、建造年代が従来より130年もさかのぼる室町時代(1500年)であることが判明しました。また、子安の塔があるのは泰産寺という清水寺とは別なお寺になります。その名の通り、お産が軽くなったり子授けのご利益で信仰を集めています。今から100年程前(1911年)までは、現在の清水寺の入り口にお寺があって、清水寺への参道はすなわち泰産寺への参道でもありました。お産が寧らか(やすらか)になるお寺への参道ということから、三寧坂(三年坂)と書かれるようになったとも伝わります。

最後に、冬の魅力と言えばなんといっても雪景色。ただ、京都は北と南で雪の量が大きく異なり、洛北にある金閣寺と、五条にある清水寺とでは雪の積もる頻度は圧倒的に金閣寺の方が多いです。今シーズンはまだ清水寺で雪景色が見られたことはなく、昨年もほんの数回だけでした。出会うことができたら、非常にラッキーですね。雪の日はいつも以上に寒く、また坂の多い清水寺やその界隈では足もとにも注意が必要ですので、歩きやすい靴でお出かけ下さい。このように、冬には冬の魅力があります。清水寺門前のおしゃれなお店も、今の時期ならゆったりと楽しめます。是非是非、冬の京都にもお越しになって下さい。

ガイドのご紹介
吉村 晋弥(よしむら しんや)
吉村 晋弥気象予報士

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京都検定1級に6年連続最高得点で合格(第14回合格率2.2%)、「京都検定マイスター」。気象予報士として20年。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。毎月第2水曜日にはKBS京都ラジオ「笑福亭晃瓶のほっかほかラジオ」に出演中。「京ごよみ手帳 2022」監修。特技はお箏の演奏。

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