雨音響く鞍馬山 木の根道と大杉権現社

雨の鞍馬山 木の根道
先日、雨の鞍馬山を木の根道から大杉権現社まで歩いてきました。

雨に煙る山並みようやく梅雨らしくなってきました。ただ、西日本では先週は記録的な雨量となったところもあり、梅雨の恵みの雨は災害と隣り合わせであることも忘れるわけにはいきません。梅雨の時期の天気予報は、正直当てるのが非常に難しいため、できるだけ直近の予報に気を配るようにして下さい。また、実況には注意して、早めの避難やその準備を心掛けて頂ければと思います。増水した川など危険な場所には近づかないことも鉄則です。

雨の鞍馬山6月20日に鞍馬寺で竹伐り会式が行われました。今年は雨が降り続く中で行われ、見ている方も耐久戦でした。そちらの様子は別途ご紹介予定ですが、せっかくなので雨降る鞍馬山を先にご紹介しようと思います。鞍馬山や鞍馬寺は、これまでも雪の様子桜の様子を書いてきました。四季の美しい様子も、よければご覧になってみて下さい。

雨の鞍馬山出町柳駅から鞍馬駅まで約30分。鞍馬山は京都近郊では比叡山よりも行きやすい山だと思います。鞍馬寺の本殿金堂付近の標高はおよそ400mで、比叡山のほぼ半分ですが、山の深さは市中では感じることができない、自然の雄大さを感じさせてくれます。こうして「気軽に」、自然豊かな山まで来れてしまうのも京都の魅力の一つだと思います。

雨の鞍馬山雨は一般的には山の方が降りやすく、この日は市街地よりも鞍馬山の方が雨脚が強く感じました。雨雲は上昇気流によって生み出されるため、斜面に沿って気流が上昇する山の方が雲が発達するのです。この日は鞍馬の山々にも雲が覆って、普段の生活ではあまり見ることのない光景が広がっていました。

雨の鞍馬山 大杉権現社竹伐り会式が終わった後、木の根道を経て大杉権現社まで歩いてみました。冬柏亭の脇から険しい階段の山道が続いてきますが、ひとしきり階段を登りきった場所に義経の背比べ石があります。普通に奥ノ院魔王殿や貴船へと行く場合はそのまま真っすぐ進んで行きます。ただ、ここで僅か数メートルだけ大杉権現社の方へと寄り道してもらうと、美しい「木の根道」があります。正規のルートのすぐそばにあるにもかかわらず、不思議と多くの方が気が付くことなく素通りしていく場所です。

雨の鞍馬山 木の根道雨に濡れる木の根道にも生命力を感じます。根と根の間には水がたまって、木はたっぷりと水を吸って大きくなっていくのでしょう。この辺りは岩盤が固いために根を地中に延ばせず、木としても苦肉の策として「木の根道」を作りだしています。こうして根の間にたっぷりと水を蓄えている様子を見て、根が網目状になっていることにも意味があるように感じました。

雨の鞍馬山 大杉権現社木の根道から奥に進めば程なく大杉権現社が現れます。この辺りまで来ると薄い雲の中に入っているようで、辺りは霧にかすんでいました。大杉権現社は大変美しい場所でありながら訪れる人が少なく、自然の中で清々しい空気を感じることができます。雨音響く山中は非日常の世界で、かの牛若丸が修行をしていた頃にもきっとこうした空気を感じていたに違いないと思いました。

雨の鞍馬山 大杉権現社今回は大杉権現社までで引き返しましたが、中には貴船まで歩くと思しきカップルもお見かけしました。雨の鞍馬山はやはり足元がおぼつかない場所もありますので、十分に注意をして歩くようにして下さい。無理をせず引き返すことも時には必要です。また「くらま」の名前の通り、雨の山中は比較的暗いため、特に夕方の山歩きには注意されるとよいでしょう。

ガイドのご紹介
吉村 晋弥(よしむら しんや)

吉村 晋弥気象予報士として10年。第5回京都検定にて回の最年少で1級に合格。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。2011年秋は京都の紅葉約250カ所、2012年春は京都の桜約200カ所を巡る。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。特技はお箏の演奏。

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