10月17日に、日向大神宮で内宮大祭が行われ、人長の舞が奉納されました。
京都は大小の祭りが続いています。「京都は年中お祭りをやっている」と言われることもありますが、さすがにそんなことはありません。ただ、こと秋と春に至ってはあながち言い過ぎではないでしょう。行事を追いかけている方にとってはたいへん忙しい時期がやってきています。
日向大神宮は「京の伊勢」とも呼ばれる神社で、東山の日ノ岡にあって天照大神(アマテラスオオミカミ)を祀る神社です。社殿は内宮と外宮とに分かれていて、社殿を見ても伊勢神宮を彷彿とさせます。なお、日向大神宮では、外宮にはアマテラスの孫で、天孫降臨でも知られるニニギノミコトがお祀りされています。また、内宮から坂を少し上ると「天の岩戸」もあり、短いながらも洞窟をくぐることができます。内部には天手力男神(アメノタヂカラオノカミ)も祀られていて、まさに天岩戸伝説をしのぶことができますね。
神社の境内へは急な坂と階段を上っていかねばならず、この神社へ訪れようとしなければ来ることは無いでしょう。その分、普段の境内は静寂に包まれていて、森の木々に囲まれた古からの神社の雰囲気を感じることができる場所となっています。紅葉も隠れ名所ですが、伊勢神宮の式年遷宮が行われた今年は、例年以上に賑わうのではないかと思っています。
境内は今が最後の緑を楽しめる時期でしょう。日向大神宮の緑の風景もお勧めですので、あえて今の時期に訪れてみるのもよいでしょう。日差しを浴びて輝くエメラルドグリーンの光景も、今を過ぎればまた来年の春までしばしのお別れです。そう思うといろいろな風景が恋しく思えてきて、紅葉への期待とともに、深まり行く秋に、もう少しだけ歩みを遅めてほしいとさえ思ってしまいます。
さて、内宮大祭は、基本的には神事ですが、その中で人長(にんじょう)の舞が奉納されます。京都の祭りを追いかけていると、どこかで出会うであろう舞で、とても優雅な舞です。人長とは宮中で神楽を舞う舞人の長のこと。ここでは武官の装束を身につけて舞を舞います。手に持つ榊には丸い輪がついていますが、これは三種の神器の一つの神鏡を表しています。舞にあわせて一音一音を長く延ばしながら歌が歌われているのも印象的です。この舞を見に、意外と多くの人が訪れていました。この日は優雅な舞を堪能して、境内を後にしました。
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ガイドのご紹介
吉村 晋弥(よしむら しんや)
気象予報士として10年。第5回京都検定にて回の最年少で1級に合格。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。2011年秋は京都の紅葉約250カ所、2012年春は京都の桜約200カ所を巡る。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。特技はお箏の演奏。