2月14日の京都の雪。今回は、城南宮・毘沙門堂・勧修寺・随心院などの雪景色です。
長らく書いてきた14日の雪景色も今回で最後です。通常ならばブログには書かずにお蔵入りさせていたボリュームですが、滅多に雪が積もらない場所でもあるため、記録の意味でも残しておきます。次回からは色彩のある早春の風景や、行事の記事を書いて行きたいと思います。さて、14日は伏見稲荷大社の前に城南宮へと寄っていました。城南宮も有名な神社ではありますが、時間勝負の雪の日においては優先度が低くなるため、貴重な風景かと思います。
もちろん神苑にも入りました。3月に入ると「枝垂れ梅」がたいへん美しくなり一押しですが、さすがに2月中旬では枝垂れ梅はまだつぼみです。ただ、椿の花は綺麗に咲いてきていて、そこにしっかりと雪が積もっていました。この付近も東寺よりは積雪量が多いです。梅は独特な枝ぶりが魅力で、雪の日は何とも言えない美しさがありますね。
全く梅は咲いていないかと思いきや、早咲きの「雲龍梅」が孤軍奮闘で雪の中に香りを漂わせていました。実は初めは雲龍梅があることに気が付かず、甘い香りを頼りに見つけました(笑)先日のブログ記事で「花の色は 雪にまじりて見えずとも 香(か)をだににほへ(匂へ) 人の知るべく(小野篁 古今和歌集)」の歌を載せましたが、考えてみればこちらの方がその情景にはピッタリでした。普段はあえて2月半ばに神苑に入ることはないので、私もこうして頑張って花を咲かせている姿は初にお目にかかります。素晴らしい梅です。
神苑はいくつかの区画に分かれていて、それぞれに趣が異なります。南側の「室町の庭」は、池や小川もある池泉廻遊式の庭園で、なんと小川からは蒸気が立ち上っていました。こうして雪が降る日は、湿度が100%に近く、気温は1℃程度。恐らく小川の水温はそれより高いため、空気中に水蒸気が隠れることができなくなって蒸気となって見えたのでしょう。この辺りは、京都と言うよりも金沢の兼六園を思わせるような冬景色でした。茶室の楽水軒はこの日もやっていて、雪を眺めながらお茶を飲むこともできましたが、時間の都合でパスしました。
城南宮のあと、伏見稲荷大社と醍醐寺を経て私が向かったのは勧修寺です。時間は既に15時過ぎで各地の拝観終了も迫っていて、ダッシュをしながらの移動となりました。勧修寺で是非見たかったのが、水戸光圀寄進の「勧修寺型灯籠」に積もった雪です。傘の部分が長い独特の「雪見灯籠」。実際に雪が積もった様子は滅多に見られないはずだからです。結果は、ご覧のように大変見事な佇まいでした。
勧修寺に続いて随心院にも向かいます。小野小町ゆかりのお寺で、3月最後の日曜日には「はねず踊り」で境内は賑わいを見せます。その頃に咲く薄紅色の「はねず梅」は遅咲きの梅のため、まだ咲いていませんでした。境内はほとんど人がいませんでしたが、「こまちぶみ」をPRする方々はいらっしゃいました。「こまちぶみ」は、拝観される方に「こまちぶみセット(小町封筒・小町便箋・小町と梅をモチーフにしたオリジナル切手)」を購入いただき、カップルや御夫婦、親子等、大切な人に想いを込めた手紙を随心院内で書いて投函箱に入れると、山科の風景印を押して想い人に届けられるというものです。3月31日まで受け付けていて、各地でPRもされています。遠方から京都に来られた方などにおススメですね。
随心院から最後に毘沙門堂へと急ぎました。拝観は16時半で終了で、必死に走って階段を駆け上り、なんとか16時15分に本堂前に到着しました。この日最後の拝観者でした。そうまでしても見てみたかったのが、宸殿の北側に広がる「晩翠園(ばんすいえん)」の雪景色です。大よそ想像通りの美しさでした。さすがに夕方とあって、雪に「新鮮さ」は足りませんでしたが、それはまたの機会にとっておきましょう。紅葉の美しいお庭の雪景色を見ることができて満足です。
拝観を終えて、山科聖天まで足を延ばし、最後に勅使門下の参道の雪景色を眺めました。秋は紅葉が抜群に美しく、毘沙門堂の紅葉を代表する場所です。晩秋は散り紅葉が足もとを覆う光景が見事ですが、この日は白い雪が足もとを華やかに見せていました。最後まで感動させて頂きながら、毘沙門堂を後にしました。さて、長く書いてきた2月14日の雪景色。この日は10年・20年に1回というレベルの大雪で、貴重な風景を各地で集めることができました。今度散策などでも写真をお見せして、多くの方に「綺麗!」と言って頂けるのが楽しみですね。途中まで一緒に回らせて頂いた写真家の方や観光タクシーの方にも、心から感謝をしたいと思います。ありがとうございました。
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ガイドのご紹介
吉村 晋弥(よしむら しんや)
気象予報士として10年以上。第5回京都検定にて回の最年少で1級に合格。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。2011年秋は京都の紅葉約250カ所、2012年春は京都の桜約200カ所を巡る。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。特技はお箏の演奏。