花開く京都 ゆっくりと進む春の歩み

東寺 開花した河津桜 2月28日
3月に入りました。ここしばらく雪の光景ばかり書いていましたので、今回は花の情報を書いてみます。特に、28日には東寺で河津桜が開花していました。「2014年の京都の桜のはじめの一歩」です。

東寺 河津桜2月も最初は暖かかったものの、その後は寒い日が続いて梅の開花も遅れていましたが、それでもゆっくりと、しかし確実に花は開いてきています。まずお伝えしたいのは、東寺の大師堂北にある河津桜の開花。河津桜は伊豆地方原産の「超早咲き桜」で、京都でも数か所で見ることができます。数ある桜の中でも最も早く、京都でも桜シーズンの始まりを教えてくれる桜です。これまで一条戻り橋にある河津桜を定点観測してきた経験から「東寺の方が早い」と感じていて、28日に訪れてみると1輪だけ花開いていました。まさに京都の桜の最前線で、2014年の京都の桜の「はじめの一歩」だと思います。

北野天満宮 紅梅梅もだんだんと咲き始めてきました。先日、北野天満宮の梅花祭を訪れてきましたが。北野天満宮は早咲きの梅が見頃になりつつあります。本格的な見頃はまだまだこれから。ピーク時には境内が甘い香りに包まれて、それはそれは心踊る空間となります。梅花祭の茶席の華やかな様子も近日中にご紹介する予定です。また、3月12日(水)には京都旅屋でも北野天満宮の梅園を訪れる散策を実施予定ですので、よければご参加ください。

同志社大学 礼拝堂と紅梅個人的には同志社大学の図書館によく通っているのですが、礼拝堂前の紅白の梅が見ごろを迎えています。同志社を創設した新島襄は、本格的な春を前に咲き誇る寒梅を愛し「真理は寒梅のごとし 敢えて風雪を侵して開く」と詠みました。昨年の大河ドラマの主人公・新島八重も「めずらしと 誰かみざらん 世の中の 春にさきだつ 梅の初花」と、梅に例えられています。礼拝堂は新島襄の生きていた時代にあった建物の一つで、こうして梅が植えられているのも、逸話を踏まえてのことかもしれません。

三十三間堂 水仙本日訪れた三十三間堂では、境内の南側に水仙が咲いている一角がありました。こちらの水仙は日本水仙やラッパ水仙ではなく、ペーパーホワイトと呼ばれる種類のようです。他の水仙に先駆けて一番早く咲く種類だそうで、例年冬の間に見ごろを迎えます。花は純白で、文字通り紙のように真っ白。雪の中に咲く姿も綺麗なのだろうと思わせてくれますね。

三十三間堂 水仙余談ですが、スイセン属の学名は「Narcissus(ナルキッソス)」で、ギリシャ神話に登場する美少年ナルキッソスに由来します。ナルキッソスは様々な相手から誘いを受けるものの高飛車にはね付けてしまい、恨みを買いました。そして呪いをかけられて、水面に映った自分の姿を愛するようになってしまうのです。ナルキッソスは叶わぬ思いに苦しんで、ついには亡くなり、そのあとにはうつむきがちにスイセンが咲いたと神話は伝えています。実は自分の美貌に酔う「ナルシスト」という言葉も、このナルキッソスから来ています。水仙にまつわる話は奥深いものがありますね。さて、春は着実に近づいてきました。今年は多くの方と一緒に春の花を楽しめたらと思っています。

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ガイドのご紹介
吉村 晋弥(よしむら しんや)

吉村 晋弥気象予報士として10年以上。第5回京都検定にて回の最年少で1級に合格。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。2011年秋は京都の紅葉約250カ所、2012年春は京都の桜約200カ所を巡る。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。特技はお箏の演奏。

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