先日、京都の南・城陽市にある青谷梅林へと足を延ばしてきました。のどかな風景の中で梅が見ごろを迎えています。
青谷梅林(あおだにばいりん)は、梅の数が約一万本と言われる京都府最大の梅林です。そのほとんどは白梅で、この梅は栽培用に育てられているものです。そのため、梅は背が低くなるように剪定をされ、規則正しく並んでいるという特徴があります。梅の密度もそれほど高くはありませんが、とにかく植わっている範囲が広いです。現在は約20ヘクタールの面積に梅が植わり、収穫される梅の実の量はなんと約120トンから130トンにも達します。北野天満宮の梅の収穫量が、約2.5トン~3トンですので、いかに多いかがわかりますね。
辺りは古くから梅の名所として知られ、鎌倉時代の末期には後醍醐天皇の皇子・宗良親王が「風かよう 綴喜(つづき)の里の梅が香を 空にへだつる 中垣ぞなき」と和歌を詠み、当時から梅林があったことがわかります。江戸時代に栽培用に梅が数多く植えられるようになり、明治以降に花見客も増えて名勝地となっていったそうです。
毎年2月から3月にかけては「梅まつり」が行われ、梅林が公開されています。梅は年によって花期が変わりますので、見頃の時期をよく確認しながら訪れるようにして下さい。今年は、例年より遅く、梅まつりも終盤の今が見頃です。会場へのアクセスは、JRの山城青谷駅から徒歩で約20分~30分、道は案内板が出ているため迷うことはないでしょう。ただ、会場までは往復約3km余りと距離がありますので、足に不安のある方はご注意ください。訪れた日は平日でしたが、結構歩いて向かう人を見かけました。
また、駐車場もあり近くまで車で行くこともできます。駐車料金は500円で、城陽市観光協会のホームページで場所を確認しながら向かうとよいでしょう。梅林そのものは梅まつりの会場よりかなり手前から目にすることができますが、最も奥にある会場までは徒歩で歩いて向かいます。
辺りは梅の香りが漂い、のどかな風景を楽しみながら歩いて行けるでしょう。この日は天気が良く、梅まつり会場に着くと、多くの人がおられました。会場では15時まで売店が出ており、梅の様々な商品を買うことができ、梅づくしの中で設置されている台に座って梅見をすることができます。お酒などもありますので、運転手以外はよい気分にもなれるでしょう。
会場では、フォークバンド「ひょうたん島」さんの「春待ち人」という曲が流されていて、咲き誇る梅の花に彩りを添えています。とてもよい曲ですが、実は青谷梅林のために作詞・作曲されたオリジナルソング。例年、会場ではコンサートも行われていますので、タイミングが合えば生歌でも聞くことができるようです。
青谷梅林の会場では、ゴザの無料貸し出しもあり、自分たちの好きな場所に広げてゆっくりと座って梅を眺めることができます。寝転んだりしてもOKですよ。小さな子どもを連れたご家族も多く、咲き誇る梅を眺め、美しい曲を聞きながらのんびりと過ごす時間はとても贅沢です。この日は今年初めて京都の気温が20℃を超えるポカポカ陽気。たいへん心地の良い時間を過ごさせて頂きました。梅まつりは今週末の23日まで。機会がありましたら、足を延ばしてみて下さい。
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ガイドのご紹介
吉村 晋弥(よしむら しんや)
気象予報士として10年以上。第5回京都検定にて回の最年少で1級に合格。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。2011年秋は京都の紅葉約250カ所、2012年春は京都の桜約200カ所を巡る。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。特技はお箏の演奏。