上賀茂神社の競馬(くらべうま) 2014年

競馬会足汰式
5月1日・5日と、上賀茂神社で2頭の馬を競争させる競馬(くらべうま)が行われました。

競馬会足汰式賀茂の競馬は平安時代の寛治7(1093)年、堀川天皇の時代に上賀茂神社で行われるようになりました。もともとは宮中で催された「端午の節会」の行事です。節会では、夏に向けて疫病が流行るのを防ぐため、薬効のある菖蒲で身を清める「菖蒲の根合せ」も行われていました。「菖蒲の根合せ」は菖蒲の根の長さを競うものですが、この勝負は左方(さかた)と右方(うかた)とに分かれて行います。左方は上賀茂神社に右方は石清水八幡宮に勝利を祈願をし、左方側が実際に勝てたお礼として奉納したのが、賀茂社の競馬会神事の起こりと伝わります。現在も5日の午前中に菖蒲の根合せが上賀茂神社で行われています。

競馬会足汰式さて、上賀茂神社の競馬会神事の本番は5月5日に行われますが、1日はその時に出走する馬の組み合わせを決める「足汰式(あしそろえしき)」が行われました。本番では2頭の馬が、右(右方)と左(左方)に分かれて走りますが、先んじて足汰式で馬の優劣を見定めて、当日の組み合わせを決めるのです。まず1頭ずつ走る「素駆(すがけ)」が行われ、出走順を決める「番立(ばんだて)」が行われると、本番さながらに決まった組み合わせごとに2頭ずつ走ります。

競馬会神事5日の本番では、左方(さかた)は赤い装束、右方(うかた)は黒い装束を着て競い、初めの組は必ず左方が勝つことが慣わしとなっています。それ以外の組では真剣勝負が繰り広げられますが、トータルで左方の勝ち数が多い年は豊作になるといわれています。その昔は、競馬のために朝廷から上賀茂神社に寄進された全国各地の荘園から、それぞれ選りすぐりの駿馬が出され、勝った馬を出した荘園は豊作になると考えられていました。今でも馬が呼ばれる際は「○○の国 ××荘」とアナウンスがあり、古来からの名残が見られます。

競馬会神事競争といえばスタートは同じ場所からが一般的ですが、賀茂の競馬(くらべうま)では、スタート時に差をつけて走り、勝負の判定地点でその差が広がれば前の馬の勝ち、縮まれば後ろの馬の勝ちとなります。スタート時の差は1馬身が目安だそう。しかし実際には馬が暴れたりもするため、そうそう上手くはいかないようです。

競馬会神事鞭のタイミングもある程度決まっており、馬場には鞭打つタイミングの目安として「鞭打ちの桜」が植えられています。他にも、スタート地点には「馬出しの桜」、決着地点には「勝負の楓」、出走前に馬上姿を整える場所には「見返りの桐」と、ユニークな呼び名がついた木があります。馬に乗る「乗尻(のりじり)」も、ベテランがいたり中学生がいたりと様々。しかし、乗尻になるには単に馬に乗れればよいのではなく、様々な作法も覚えなければなりません。今年は、中学1年生のまだまだ体も小さな乗尻がデビューしました。

競馬会神事 美作国倭文庄の馬馬の評価のポイントも単に速さだけではなく、乗尻の馬上での作法も対象となって、上の上から下の下までの9段階で評価されます。古くからのしきたりによって、最初に走る「美作国倭文庄(みまさかのくに しどりのしょう)」と二番目の「加賀国金津庄」は順番が決まっており、しかも美作国倭文庄が勝つことになっています。足汰式での評価も、両者は必ず「上の上」になります。順番や荘園によっても細かい作法は違っていて、まさに古式を今に伝える行事です。

競馬会神事5日の競馬会神事では2頭ずつ計6組で馬の速さを競っていきます。2組目以降は、5月1日に行われた足汰式(あしそろえしき)の結果によって組み合わせが決まっています。スタート地点までゆっくり進んだ馬は、「おうた(合うた)」のかけ声で、一気に加速してかなりのスピードで駆け抜けていきます。目の前で見ると大迫力で、見物客の歓声も上がります。

競馬会神事 鉾を下げる勝負を終えた乗尻(のりじり:騎手)は、それぞれの見聞役の元へ出向き「ただいまの勝負いかがでござる」と勝ち負けを確認します。勝てば「お勝ちでござる」、負ければ「お負けでござる」と告げられ、勝った乗尻は、賞として禄絹を鞭で受け取りクルクルと回すのが習わしとなっています。実は勝負結果には「引き分け」もありです。2014年の6組の成績は・・・5勝1敗と昨年(5勝1分)に引き続き、左方の圧倒的勝利。この結果のように今年も大豊作となってほしいですね。

競馬会神事 頓宮への拝礼また、勝利をした乗尻は、馬場の隣に設けられた頓宮(とんぐう:神様の臨時のお社)に向かって拝礼をして、勝利を報告するのが習わしです。肩には報償の禄絹もかけています。頓宮の前には5本の鉾が立てられていますが、3組目の馬が走り終わると、この鉾が下げられます。実は鉾を下げることで「神様が帰る」ことを表しています。神様は先に帰って行かれるのですね。神様が帰っても、勝った乗尻は最後まで頓宮には頭を下げて行きます。細かな見所も多い競馬会神事、最初の馬が疾走する勢いは動画でもご覧ください。


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ガイドのご紹介
吉村 晋弥(よしむら しんや)

吉村 晋弥気象予報士として10年以上。第5回京都検定にて回の最年少で1級に合格。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。2011年秋は京都の紅葉約250カ所、2012年春は京都の桜約200カ所を巡る。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。特技はお箏の演奏。

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