金福寺は詩仙堂の南にあり、地図をよく見ながらやや入り組んだ道を進むとたどり着くことができます。詩仙堂に比べると人が少なく、比較的に静かに過ごせることが多い場所の一つです。元は天台宗の寺で、第四世天台座主を務めた安恵(あんね)によって創建された由緒を持ちます。
時を経て荒廃した金福寺は、江戸時代中期に圓光寺の鉄舟和尚によって再興され、臨済宗の寺として現在に続いています。境内には与謝蕪村をはじめ、近世の俳人の墓や句碑が並んでいます。坂はきついですが、境内の奥まで行けば見晴らしの良い場所もあります。
寺を再興した鉄舟和尚は松尾芭蕉と親交があり、松尾芭蕉も寺に訪れています。和尚はそれまで無名で合った庵に「芭蕉庵」と名を付け、芭蕉のことを偲んだと伝わります。その後、80年以上の時を経て芭蕉の遺徳を偲んで訪ねて来たのが与謝蕪村。そして芭蕉庵が荒廃していたことを惜しんだ蕪村によって再興されたのが、現在に伝わる庵です。
金福寺の庭園は今の時期が一年の中でも華やぐ季節の一つ。サツキが飾る枯山水の庭園は立体的で、奥には萱葺き屋根の芭蕉庵が趣を添えています。詩仙堂の室内から見るサツキよりは少し進みが早い印象で、もうしばらく見頃が続きそうです。庭は、夏は桔梗が飾り、秋は紅葉が見事。四季折々に美しい穴場のお寺ですので、近くに行かれた際は足を延ばしてみて下さい。
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ガイドのご紹介
吉村 晋弥(よしむら しんや)
気象予報士として10年以上。第5回京都検定にて回の最年少で1級に合格。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。2011年秋は京都の紅葉約250カ所、2012年春は京都の桜約200カ所を巡る。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。特技はお箏の演奏。