台風11号は京都から遠ざかっていきましたが、台風がもたらした雨により鴨川が一時激しく増水しました。
京都では台風本体の雨雲によって、昼過ぎから雨脚が強まりました。ちょうど鴨川の流域一円に50mm/h前後の雨量をもたらし、14時前にかけて非常に激しい雨が降り注ぎました。河川水位はみるみるうちに急上昇して、濁流となって京都の川を流れ下り、鴨川や桂川も昨年の台風18号以来に激しく増水。1年前をほうふつとさせる光景となりました。
鴨川は都市を流れる河川としては急流で、降った雨水が一気に流れ込んで水位が急上昇しやすいという特徴があります。今回は1時間で1mも水位が上昇し、カップルが座ったり散策路として親しまれている高水敷が浸水しました。鴨川では「京の七夕」が行われていますが、その会場も川の中に水没して濁流に飲まれていました。
今回はヘルメットにカッパ、長靴という装備で安全に十分注意をしながら、資料用の写真や映像を撮りに行ってきましたが、激しく流れ下る川の様子には恐怖を覚えました。特に三条大橋は橋脚が細く、見ていて不安になってしまいます。三条大橋の下は高水敷が低くなっていて、ここから水がみそそぎ川に激しく流れ、下流では再び越水して高水敷を洗いながら鴨川に流れ下っていて、非日常の光景にはただただ立ちつくすばかりです。
幸いにも今回は雨のピークは2時間ほどで過ぎ去り、最高水位は2.2mほどで収まりました(昨年は2.5mほど)。しかし天神川では人が流されたとの報道もあり心配です。桂川も桂の観測点で氾濫危険水位を超えましたが、昨年よりも水位は低く、今のところ大きな被害の報道はありません。昨年に続き、今回も上流の日吉ダムが水をためていて、ダムから放流量は流入量の約60分の1にまで抑えていました。桂川の場合はダムによる治水効果も大きなものがあります。
しかし、仮に雨があと数時間長く降り続いていたら、さらに強度が強かったらと考えると、京都の河川も安全とはいえません。遠くない将来に大規模にあふれてしまう日が来ないとも限りませんので、日頃からいざという時に身を守る手段や情報を得る方法に関心を持っていただければと思います。京都旅屋でも、気象予報士としての知識や経験を活かせる企画を行って、微力ですが世の役に立っていければと思います。
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ガイドのご紹介
吉村 晋弥(よしむら しんや)
気象予報士として10年以上。第5回京都検定にて回の最年少で1級に合格。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。2011年秋は京都の紅葉約250カ所、2012年春は京都の桜約200カ所を巡る。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。特技はお箏の演奏。