京都の楓の一部が既に赤くなり始めています。8月の天候不順の影響と思われますが、今後の動向には要注目です。
今年は楓の色づきに異変が起きています。8月下旬に天龍寺をご案内した時に、境内の楓が赤くなり始めているのを見て不安を覚えましたが、今日「永観堂」などを訪れてみて、予想以上に「赤い」楓が目について驚きました。観光客は思いがけない「紅葉」に喜んでいましたが、季節はまだ9月の初め。京都の例年の紅葉シーズンは、早い場所でも11月上旬ころからで、色づくには2カ月早いです。なお、色づいているのは真夏でも赤みのある「ノムラモミジ」だけではありません。
私の見る限りですが、どうやら東山や洛北を含め、広範囲で一部の楓は赤くなり始めているようです。今日は気になって東山の紅葉名所をザッと回ってみましたが、パッと見ただけでは気がつかないレベルのものが多いものの、傾向としては例年紅葉の色づきが早い場所で、うっすらと赤くなってきていました。例年色づきが遅い場所はしっかり緑です。恐らく11月の紅葉のように急激に色づくことはないと思われますが、今後の動向からは目が離せません。
楓は最低気温が8℃以下になると、葉に離層ができて色づき始めるといい、日当たりのよい枝の先端や水辺から色づく傾向があります。葉が赤くなるのは、葉が光合成をしなくなり、葉に含まれている糖分が赤い色素(アントシアン)と結びついて発色させるためですので、赤くなった葉は遠くないうちに散ってしまいます。すなわち今から赤くなってしまうと、11月から12月の紅葉シーズンには既に葉がなくなってしまうため、今年は紅葉が不順となる恐れがあります。手元の文献を斜め読みしてみましたが、根の活動が鈍ると葉の蒸散とのバランスが悪くなって葉に離層ができるという仕組みようで、降水量の多さで根と葉のバランスが崩れていることが要因かもしれません。
今回赤くなっているのはまだ例年色づきが早い株なので、今後一般的な木にまで広がってしまうかが重要なポイントとなりそうです。この8月の西日本は、過去70年近くで1番という天候不順で、各方面に影響が出てくるかもしれません。なんとか例年通りの美しい晩秋の紅葉を期待したいところです。
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ガイドのご紹介
吉村 晋弥(よしむら しんや)
気象予報士として10年以上。第5回京都検定にて回の最年少で1級に合格。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。2011年秋は京都の紅葉約250カ所、2012年春は京都の桜約200カ所を巡る。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。特技はお箏の演奏。