台風一過の空 高波の性質

鴨川と空 10月6日
台風18号は足早に東へと去っていきました。京都は台風通過後に北風が吹きこみ、晩秋から冬と似た、時雨(しぐれ)模様の空となりました。

鴨川と空 10月6日台風18号、各地で被害が出ています。特に高波で死者・不明者が出ていることが残念でなりません。報道の映像でも高波でカメラマンが逃げる場面が・・・。波は思いのほか恐ろしいので、その性質についてよく知っておいてほしいと思います。波には大波も小波も様々にありますが、一般的な気象情報で「○mの波」と発表されているものは、「波を100波並べて、高い方から33波の平均値」のこと。これを「有義波高」といいます。有義波高は実際に人が海岸に立って感じる波の高さと大よそ一致していて、見た目の波の高さ≒有義波高と言い換えることもできます。

鴨川と空 10月6日一方で、統計的に100の波に1つは、有義波高の約1.6倍の波が、1000の波に1つは約2倍(約1.9倍との書籍も)の大波が来ることもわかっていて、この「一発大波」にのまれて海岸にいる方は命を落とすことが多いです。また、気象庁のページなどで公開されている波の情報には「周期」も記されていて、周期が「10秒」ならば、10秒ごとに1波やって来ることを示しています。

平安神宮の大鳥居「有義波高」と「周期」が分かると、有義波高の1.6倍の波や、2倍の波がやって来る頻度もわかることになります。例えば「高さ5m、周期9秒」と発表されている場合、15分かけて100の波がやって来るので「15分に1回は、5m×1.6倍=8mの波がやって来る」ことが分かり、同じく150分かけて1000の波がやってくるので、「150分=2時間30分に1回は、5m×2倍=10mの波がやって来る」ことが分かります。

平安神宮 10月6日「周期9秒」の波は一般的な周期の範囲ですので、「15分に1回は、見た目の波の高さ(有義波高)より、1.6倍も高い波がやって来る」というのは、以外と短いと思われるのではないでしょうか。波は油断をしていると、本当に危険です。台風などの高波が予想されている時は、むやみに海岸には近づかないようにしてください。

平安神宮 10月6日さて、台風が早朝に過ぎ去っていった京都。台風は古くは「野分(のわけ、のわき)」と呼ばれていましたが、徒然草では「野分のあしたこそをかしけれ」、枕草子では「野分のまた日こそ、いみじうあはれにをかしけれ」とも書かれ、野分がもたらす非日常のあり様や秋の空気に、いにしえの人びとは風流さを感じていました。実際、台風のあとの木々や落ち葉の風景は台風ならではの光景で、さらに台風は結果として大陸から秋の空気を呼びこんで一時的に季節を進め、気持ちの良い美しい風景を見せてくれます。今日の京都の空は、本当ならばもう少し先に現れる「晩秋の時雨」の空。少しだけ「虹」も見えていました。副産物として季節を先取りさせくれるのも台風です。今週末にも台風19号が北上して来そうですが、災害が起こらず、こうした天気の面白さだけをなんとか見せてくれないものかと思います。そして高波にはくれぐれもご注意ください。

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