元日から2日の京都の大雪で、宇治の平等院も雪景色に包まれました。
お正月の京都の大雪では、滅多に雪が積もらない宇治でも10cm以上の積雪となりました。昨年2月の大雪でも宇治は雪が積もっていますが、平等院の鳳凰堂は昨年の4月から修復後の姿を見せていますので、今回は新たな平等院で雪景色が見られる最初の機会でした。宇治でしっかりと雪が積もるのは、3年に1回程度ではないでしょうか。私も長年チャンスをうかがいながら今回初めて眺めることができました。
平等院鳳凰堂は平安時代中期の1053年の建立で、醍醐寺に残る京都府下最古の五重塔と並び、平安時代をしのべる建物としてこの上なく貴重です。昨年の修復で創建当初の色彩を取り戻し、その雪景色はまさに平安時代にも見られたであろう眺め。時を越えて我々の前に現れた平安王朝の風景です。
平等院前には8時半の開門前からすでに多くのカメラマンが列をなしていました。やはり皆さん鳳凰堂の雪景色を心待ちにしているようで、期待が高まります。そして開門とともに境内に入ると、小走りで鳳凰堂へ!目に飛び込んできた雪をまとったその姿。想像した通りの感動的な美しさでした。印象的なのは、金色に輝く鳳凰。昨年の修復後に金色のレプリカとなっていますが、雪の白さによく映えていました。
鳳凰堂は藤原道長の子、藤原頼道によって建てられた平安貴族の力の結晶とも言うべき建物。交通の要衝である宇治橋・宇治川のたもとにあり、数々の戦火にも巻き込まれましたが、奇跡的にその姿を現在にとどめています。建物はもちろん国宝ですが、内部の阿弥陀如来像をはじめ、鳳凰堂だけで6件もの国宝が指定されているという、まさに日本国の宝の中の宝ともいうべき存在です。お堂が10円玉に描かれているのは有名ですが、1万円札の鳳凰も実は平等院のもの。それも納得の、とてつもなく貴重な存在です。
雪景色の美しさは格別で、きっと平安貴族たちもこうした風景を目にしていたのでしょう。風の穏やかな日は阿字池に鳳凰堂が逆さに映り込みますが、この日は少し離れた場所からの方が綺麗に映って見えました。「逆さ平等院」も絵になります。平等院には朝から多くの方が訪れて、その見事な光景を目に焼き付けていました。滅多に見ることができない雪の平等院。特別な時間を過ごすことができました。
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ガイドのご紹介
吉村 晋弥(よしむら しんや)
気象予報士として10年以上。第5回京都検定にて回の最年少で1級に合格。これまでに訪れた京都の観光スポットは400カ所以上。2011年秋は京都の紅葉約250カ所、2012年春は京都の桜約200カ所を巡る。自らの足で見て回ったものを紹介し、歴史だけでなくその日の天気も解説する。毎月第2水曜日にはKBS京都ラジオ「笑福亭晃瓶のほっかほかラジオ」に出演中。特技はお箏の演奏。